免疫チェックポイント分子・PD-1の発見で本庶佑氏がノーベル賞受賞
免疫チェックポイント分子・PD-1を発見したことで、免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ(ニボルマブ)」が開発され、既に大きな成果を挙げています。
ノーベル賞受賞は大変喜ばしいことで、オプジーボを開発した小野薬品工業の株価も年初来高値を更新しました。
これでオプジーボの適用範囲を広げるための認可スピードは早まるでしょう。それは良いことばかりとは言えない側面があります。
「医学の進歩が国家を破壊する」
オプジーボが肺がん治療にも認められた際、2015年12月の第56回日本肺癌学会のシンポジウム「肺癌新治療の費用対効果」で議題になり「医学の進歩が国家を破壊する」という危機感が表になりました。
当時のオプジーボの薬価は100gで約73万円。大人が一定期間投与すると3500万円くらいかかり、5万人の患者に投与すると薬価1.5兆円以上一気に増える計算です。
もしも他のがんにまで適用されたらどうなるの?という心配が出るのは当然のこと。
ただし、薬価がいつまでもこのままなわけもなく、すぐに半額に引き下げられました。
2018年4月にも引き下げられ、2018年11月にもさらに下げられて遂に17万円台にまで下げられました。当初から見れば4分の1です。
ここまで急激に下げられると、小野薬品工業の利益は大丈夫か?という心配も出てきます。
オプジーボばかり騒がれてますが
ニュースではオプジーボばかり取り上げられていますが、同じ抗PD-1抗体薬としては「キイトルーダ(ペムブロリズマブ)」もあり日本でも承認済みです。
がん細胞側のPD-L1を対象にする抗PD-L1抗体薬もあり、これから日本で承認されていきます。
選択肢が増えることでより効果を得られる可能性が高まりますし、他の薬との併用治療も研究中です。
結果として、高い薬代を使って長生きするのは、健康保険財政と年金財政の両方にとって喜ばしいことではありません。
「人生100年時代」は2107年くらいにやってくると予想されていますが、もっと早くなるかもしれませんね。