日本の企業では「やる気」を見せないといけない?
経済学者の熊沢誠さんは、日本の企業では「生活態度としての能力」が求められていると指摘しました。1990年代のことです。「生活態度としての能力」とは、自分の生活のすべてを仕事に注ぎ込める能力を意味します。これを基準にすると、残業や休日出勤に対応できる社員は「能力が高い」、会社の要求よりも自分の都合を優先する社員は「能力が低い」と評価されることになります。
残業や休日出勤など「自分の生活のすべてを仕事に注ぎ込める能力」を能力として評価されるということは、「社畜」が評価されるということですね…
企業によりますし、それが全てとは言いませんが、その評価軸は確実にあると思います。女性が評価されない企業は特にこれです。
結果さえ出していればいいよ、という企業は少ないかも。
社員の中の一部の人(キャリア・エリート・幹部候補社員)が、それなりの見返りがあってやるのは別にいいと思いますけど、社員全体に求められるのは困りますね。
でも求める会社が増えたために「社畜」などという言葉が広まってしまったのでしょう。
下請け企業は会社として全てを注ぎ込む構造
下請け企業によっては、上の会社からの無理難題に答えるために、「従業員の生活の全てを仕事に注ぎ込ませる」ことがあります。
「月曜の朝までに」と言われたら、それを断れずに従業員に休日出勤を無理強いするとかです。
言いなりの下請け企業では、「生活態度としての能力」を最も評価せざるを得ないわけですね。
そしてそんな評価をしているから、下請けから脱却できない悪循環に陥ってしまいがち。
上昇志向から撤退する勇気も必要
記事の相談では「上昇志向があるフリ」をするのがつらそうですが、私はそれでもいいと思いますし、「働いてるフリ」をしてサボるくらいのメンタルでもいいと思っています。
堂々と「出世に興味はない」と宣言してもいいし、それで居づらいなら早期退職して転職するもよし。
お金があるならセミリタイアとか完全リタイアだってありです。おすすめするものではありませんが。
上昇志向から撤退する人が増えれば、経営者の意識も変わって働き方改革も進むと思います。時間はかかりそうですけど。