貯金2000万からのセミリタイア継続中

40代・貯金2000万円で無謀なセミリタイア生活を始めて5年以上継続中。気がつけば50代に…

ウチヤマユージ『葬送行進曲』

『葬送行進曲』(ウチヤマユージ)

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嵐の夜、山道に迷った男は廃屋で一夜を明かす。しかし廃屋と思われたその家には老婆が独りで住んでいた。さらにその家は「よくぞこれだけ!」と思われるほどのゴミに溢れたゴミ屋敷であった。行き場のない男と、どこへも行けない老婆。ワケアリの二人の孤独な魂が共鳴し……。前作「よろこびのうた」では実際にあった事件を題材に日本の問題をあぶりだしたウチヤマユージが、今作でもまた人の心の暗部を優しく掬い、そして救う。

前作の『よろこびのうた』が面白かったので、これも読んでみました。お正月の読書(マンガだけど)の一つです。

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よろこびのうた』は、元ネタとなる事件「福井火葬場心中事件」がありましたが、『葬送行進曲』は特に事件があるわけではなく、「限界集落」「ゴミ屋敷に住む高齢者」「(実の子がいるのに)孤独死」「遺産争族」といった社会問題を盛り込んだストーリーです。

「庚申待」は興味深いイベント

話の中で「庚申待(こうしんまち)」というイベントが登場します。

60日に1回の庚申(かのえさる)の日に、三尸の虫が閻魔大王に報告に行かないように、徹夜で酒盛りをして夜を明かすと。

幸せになるため、信仰を理由に楽しく酒が飲めるのだから続けられていたということですかね。

楽しい仲間とできるなら良いことだと思います。というか、私も若い頃は「徹夜でアニソンカラオケ」とかやってたわけですが、まさに「庚申待」みたいなものですね。

今は毎日朝まで起きてアニメ見たりゲームやってるけど、「一人庚申待」になっているとも言えたりする?

一方、狭い集落の中でやるのは必要なものでもあると同時に、噂話などで居づらい人もいるでしょう。作品の中ではそれも描かれていました。

『よろこびのうた』ほどのインパクトはなかった

よろこびのうた』は元ネタの「福井火葬場心中事件」自体がインパクトがありすぎる事件だったのと比べると、今回の『葬送行進曲』はそれほどインパクトは感じませんでした。

でも、一人で住む高齢者の親が住む家がゴミ屋敷になっても、子どもは何もせずに放置…なんて家は実際にあるでしょう。

そんな親子関係にした原因が親と子のどちらにあるのかはわかりません。

子に原因があったとしても、「子は親を映す鏡」と言うように親は自分が原因だったと思うしかないんですけどね。

葬送行進曲