デービット・アトキンソンと考える日本の生存戦略
今週の週刊東洋経済の特集は『デービット・アトキンソンと考える日本の生存戦略』。
デービット・アトキンソン氏が出版した『日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義』をベースにした特集です。
日本を再興する上で生産性の向上は必要不可欠であり、生産性の向上のために必要なのは、「最低賃金の継続的な上昇」をして労働分配率を上げること、としています。
求めているのはいきなりアップするのではなく、年5%レベルの上昇率で継続することです。
安倍政権でもこの3年間、最低賃金を3%ずつアップさせていますが、それを超える上昇率です。
最低賃金をアップしたら失業者が増えないか?
最低賃金のアップは中小零細企業は倒産に追い込み、失業率をアップさせるとよく言われます。
しかしデービット・アトキンソン氏はそもそも「中小企業を守らなければならない」という考えではなく、「中小企業が多すぎるから合併して規模を大きくすべき」という考え方です。
中小企業の生産性が低いのは、企業規模別労働生産性のデータが示している通りですから、当然の主張と言えるでしょう。
最低賃金の上昇で生産性向上を強制する狙いですからね。
さらに、「中小企業が人手不足なのは労働条件が酷いからだ」と手厳しい言葉もありました。
ネットでは散々言われていることなので、私はその通りとしか思いませんけど、経営者や政治家ははっきり言わないんですよねぇ。
それどころか、外国人労働者で低賃金労働者を都合しようとしてるだけですし。
安売りを辞める前に買い叩きを辞めさせるべき
もう一つの生産性向上策として安売りを辞めることを提言していますが、小売やサービス業の方はやった方がいいでしょう。
それより問題は、大企業と下請けの中小企業の間の取引です。
下請けの中小企業が安売りを辞められるのは難しいどころか、消費税アップした分を買い叩かれかねません(下請法違反ですが)。
下請けの中小企業が合併して、大企業に対して物を言えるようになればいいですが、そんな合併には妨害や報復がありそう。
マスコミも「日本の中小企業は凄い!」みたいなことばっかり報じてないで、ブラックな経営から下請けいじめまで、中小企業の闇の部分をもっと報じて欲しいですね。
だめな中小企業は最低賃金アップで潰れる(吸収合併される)方がいいんですけど。