「貯蓄ゼロ世帯」大幅改善のカラクリ
金融広報中央委員会の2018年版「家計の金融行動に関する世論調査」で、金融商品を「いずれも保有していない」と回答した単身世帯が大幅に減った話です。
この調査結果が公表された時に私もあれっ?と思って記事を書いていました。
調査を読めば分かる通り、調査の方法(質問の仕方)が変わっているため、2017年と単純に比較はできない調査になっています。
読めばわかるので騒ぐ必要はないと思います。
マスコミがこのニュースを報じる時に、「預貯金ゼロの世帯は~」と単純化している方が問題で、しっかり中身を見て報じないといけませんね。
「借入金のある世帯」の増加が示すもの
それより2018年版「家計の金融行動に関する世論調査」では、借入金のある世帯が2017年の15.8%から2018年は18.5%へ増加している点に注目すべきです。
借入金の目的で「日常の生活資金」が特に増えているからです。
こんなわかりやすい調査結果を出してくれてるのに、この統計はダメだ、と無視してしまうのはもったいない。
扱いに注意が必要な部分は注意して扱い、使える部分はうまく活用すればいいのです。
もっと楽に出せる統計を増やすべき
今回問題になった毎月勤労統計調査は、希望すればオンライン調査も可能ですが、基本は事業所に書類を書いてもらって返送をお願いするというとても面倒なものでした。
当然集計に時間がかかる面倒な統計で、楽をしたいとの思いがあったのは間違いありません。
一方で、アメリカの統計は毎月たくさん発表されていますよねぇ。それで株価や為替が大きく動くこともあるので怖いですけど。
日本でももっと機械的にすぐに算出できる統計を取り入れて重視した方がいいのではないかと。
また見るべき統計も時代とともに変化していきます。
日本ではボーナスをもらえない人の割合がかなり多くなっているのに、未だにボーナスをもらう人だけの平均金額を必ずニュースで報じます。
もはや報じる意味がある数字とは思えませんよね。
統計不正と、それに対する政府・国会の対応はお粗末だと思います。
それと同じくらいにメディアの統計の読み方・扱い方もお粗末なので、どちらも根本的に変わらないと。