日本国憲法第二十七条
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
児童は、これを酷使してはならない。
勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止について規定された憲法第二十七条です。
この条文では「権利」が先ず書かれているように「国民の権利」の一つなのですが、それよりもその後に書かれた義務ばかりが注目されて「国民の三大義務」として扱われることがほとんどです。
日本国憲法の中で最も語られることがない国民の権利の一つと言っていいかもしれません。
児童じゃなければ酷使しても合憲?
条文の最後には「児童は、これを酷使してはならない。」とあります。
当時は児童労働が問題だったのでしょうね。日本だけでなく欧米でも昔はそうでしたし、今も発展途上国では児童労働の問題はあります。
でもこれを素直に読むと、「児童でなければ酷使してもよい」とも読めてしまうことに気が付いてしまいました。
いや、実際に三六協定の「特別条項付き協定」を結ぶことで、残業時間に上限がない青天井で酷使できるようになっていたわけですが。
最近になってやっと青天井でなくなりましたが、それまでは「児童じゃなければ酷使しても合憲」だから、法律でもその通りにしていたのかと…
もしも憲法を改正するなら
もしも現在の事情に合わせて憲法第二十七条を改正するならば「すべての労働者を酷使してはならない」にすべきですね。
AIが発達した時のことを考え、「勤労の義務」という文言を削除した方がいいのかもしれません。
ちなみに、自民党の憲法改正草案において第二十七条はほぼ現行通りで、言い回しが変わっているだけでした。
この先もしばらくは「酷使しても合憲だからねっ!」ということですかね…(´・ω・`)