最低賃金はいくらまで上げていいか?
物価上昇をさせるためには最低賃金を上げないといけないし、現在の年3%の上昇率でも日銀の物価上昇目標2%を達成できないのが現状です。
政府が目論んでいるように年5%くらいまでは上げてもいいと思いますが、闇雲に上げればいいというものでもありません。
また、その金額も一体いくらがいいのかは論争が尽きません。
その中で、「賃金の中央値の60%までは悪影響がない」とする研究は興味深く感じました。
日本なら最低賃金1200円まで悪影響なし?
日本の年収の中央値は350万から360万円です。仮に360万円で1800時間を働いているとすると、時給は2000円です。
実際には、長時間労働をして残業代込みでの年収のデータなので、もっと下がるかもしれませんが。
賃金の中央値を2000円とするならば、その50%の時給1000円はもちろん、60%の時給1200円までは悪影響がないということ。
仮に中央値を1600円まで低く見積もった場合には、60%の水準で960円です。1000円あたりが一つの目安にはなるわけですね。
ちなみに、イギリスが最低賃金を9ポンドまで上げることに決めた理由は、賃金中央値の60%を目安にしたからだそうです。
政策に欠かせない統計
このような政策を実施するには、賃金の中央値がいくらなのかという統計データが必要になります。
ところが、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」で不正が発覚するなど、そのデータの正確性に疑問が出ているようではねぇ…
データをもとに議論されるのではなく、「最低賃金を上げると中小企業が潰れるぞ!」といった根拠のない脅しのような言葉ばかりが語られてはいけません。