会社作っておいて無知では済まされない
「無知」と言ってもいいのは、青色申告承認申請すらしていない白色申告の個人くらいでしょう。
それなら「申告をどうしたらいいのかわからなかった」と言ってもいい。
実際にそういう事例も多いためか、制度として特定の業種の個人事業主への支払いには源泉徴収される仕組みになっています。
プロスポーツ選手や芸能人への報酬がその対象です。源泉徴収税率は1割ほどなので、人気の芸能人なら申告してさらに高い税率で計算した税金を収める必要がありますけど。
経費の範囲を過大にするだけならまだしも…
これが経費の範囲をガバガバに広げすぎて、何でもかんでも経費として計上して指摘されただけなら「見解の相違」という言い訳でまだ多めに見られたでしょう。
しかし、法人で3年間無申告はありえない。自分で申告書を作成するわけではないのだから、担当者や依頼していたはずの税理士は何をしていたのか?
徳井本人や担当者が税理士にちゃんと依頼をしなかった、完全な怠慢であって悪意があったとすら取れます。
法人化しておいて「無知」で済まされないのは言うまでもありません。
執行猶予付きの懲役刑判決が出る可能性
法人を作っておきながら意図的な未申告での脱税で摘発された事例としては、『まおゆう魔王勇者』『ログ・ホライズン』の著者・橙乃ままれが思い出されます。
最終的に橙乃ままれ本人には、懲役10か月(執行猶予3年)の判決が下されています。
3年間未申告、3年間の収入額が1億2千万円と近いことから、今後は同様に告発され、実刑判決が下る可能性があります。
今回のケースは、もう告発をせずに終わってしまうのかもしれませんが、同様のケースで告発される場合と告発されない場合があるのは不自然ですね。
ええ、はっきり言えば「脱税」で告発されるべきケースです。
平成23年から無申告に厳しくなっている
そう思う理由は、平成23年度の所得税法改正によって「故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設」がなされたためです。(「ほ脱犯」とは脱税犯を意味します)
無申告はわざわざ仮装・隠蔽など手のこんだことをする必要もなく、悪意の証明が難しいです。
だからこそ抜け道になっていたわけで、これに対して厳しく対応するようになりました。FXなどでの脱税事案が増えたことが大きな要因のようですけど。
しかし、法律上は「無知」「うっかり」が言い訳として通用しなくなっているわけですから、厳しく対応する可能性があります。
2000万円を超える巨額脱税のケースですから、法律に則って対応すべきだと思います。
そして「納税の義務」の大切さを世に知らしめるべきでしょう。