日本人の給料はなぜこんなに安いのか?
日本人の給料はなぜ安いのか――。本書では(1)日本の社会は「製造業」がベースになっているから(2)労働者の流動性の低さ――などを理由に挙げる。
この記事で取り上げている『日本人の給料はなぜこんなに安いのか ~生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学~』は、日本人の給料の安さだけでなく年金の損得やレンタルと購入の損得、持ち家と賃貸の損得などについて書かれている本です。
その中で日本人の給料の安さについて取り上げているわけですが、その理由として挙げられている一つが「日本の社会は『製造業』がベースになっている」という点。
標準化された製造業など、労働集約型産業の雇用体系・給与体系が主流になりすぎているということですね。
「ソフトウェア工場」という幻想
製造業の考え方を他の産業・業種にも取り入れる動きは昔からあり、ソフトウェア産業も例外ではありません。
知識集約型産業と思われるソフトウェア開発も、労働集約型産業にして、大量生産しようと考えていたわけです。
70年代、80年代くらいまではその試みをしても良かったかもしれませんが、今もその考え方をしていては、到底通用しません。
できる人とできない人の差が100倍や1000倍にもなる世界ですからねぇ。できるソフトウェアエンジニアには、年齢関係なく大金を払うべきなんです。
もう一つの問題は日本の労働組合にある
日本人の給料が安い理由を語る上で、労働組合の問題を抜きにはできません。
企業別の労働組合であり、かつ御用組合であることが、製造業ベースの雇用体系を守る原動力になってしまったかと。
これがアメリカのように職種別の労働組合なら、知的労働者はもっと要求したり、他社への転職もしやすかったと思います。
まぁ日本の労働組合は、そもそも賃金を上げることに目が向いてないと思わざるを得ないので、それ以前の問題かもしれませんがね…