フリーランスの休業補償、4100円は高い?安い?
政府は臨時休校を受けて仕事を休んだ保護者への支援として、業務委託契約などを結んでいるフリーランスに1日当たり一律4100円を給付する方針を表明した。給付額は東京都の最低賃金1013円×4時間で算出したというが、根拠は不明確だ。
新型コロナウイルスで休まざるをえなくなった従業員に対する補償は、雇用調整助成金を活用するので、上限は日額8330円です。
企業と業務委託契約を結んで働いているフリーランスで、かつ子どもがいて働けなくなった場合に限って日額4100円。
そこはいっそ上限を日額8330円に合わせても良かったようにも思いますが、どうなんでしょうかね。
実際、この条件に当てはまるフリーランスはかなり少ないと思いますし。私もフリーランスの一人ですが、言うまでもなく対象外です。
雇用調整助成金をフリーランスに配るのはおかしい?
- 「フリーランスは自己責任だから不要」
- 「従業員が収めた雇用保険料をフリーランスに出すのはおかしい」
という意見をみかけました。後者は特にTwitterで多く見かけましたかね。
しかし後者には誤解があります。雇用調整助成金の財源は、従業員が収めた雇用保険料ではありません。
労働者の給与の額に合わせて決まる雇用保険料は事業者と労働者の双方が負担(労使折半)し、失業給付に使われます。
失業給付とは別の「雇用保険二事業」に使われるお金は、事業者だけが収めています。
この積立金が1.3兆円を超えているのなら、今は一気に吐き出す時でしょう。
フリーランス(自営業)も色々な職種がありますが、業務委託契約で請け負っているフリーランスは契約している事業者の利益に貢献しています。
その利益の一部から納められたのが「雇用保険二事業分」と考えると、雇用調整助成金を特定のフリーランスに拠出することはおかしな話ではないのです。
フリーランスは自分で所得補償保険に入っておけばいい?
また、「所得補償保険(就業不能保険)で賄えばいい」という声も見かけました。
これも誤解があって、本人が新型コロナウイルスに感染して一定期間働けなくなったなら保険がおりますが、そうではなく仕事を失った場合は保険がおりません(多分、ほとんどの保険は)。
あくまで病気や怪我で働けなくなった時に備える保険ですからね。労働者における「傷病手当金」に相当したもので、今回のような騒ぎに広く対応した保険ではありません。
ただ、今回の件でフリーランスの不安定さ・リスクがはっきりと見えましたね。
「一国一城の主」「雇われない生き方」などと、リスクを言わずにいいところを強調してフリーランスをもてはやす人はいます。
しかしながら、フリーランスはメリットとデメリット両方あることを理解した上でやるべきものです。