いじめてもよさそうなやつを叩く国民性
日本人は「上が決めたことなら仕方ない」と考えがちだ。生物学者で早稲田大学名誉教授の池田清彦氏は「結局、強い相手には口をつぐむ。一方、いじめてもよさそうなやつは徹底的に叩いて憂さを晴らそうとする。それが日本人の国民性だ」という——。
池田清彦教授の主旨自体には同意するのですが、細かいところでは色々と疑問に思うことが多い記事でした。
例えば、テンピンの賭け麻雀で騒がれた黒川弘務氏より、「株のインサイダー取引で20億〜30億円儲けているやつのほうがよっぽど悪党」というけれど、そういう悪党の具体的な事例があれば叩くと思います。
また、黒川弘務氏は懲戒処分を受けたとしても、懲戒免職まではいかないので退職金がゼロになることはないはず。
税金の使い途には厳しい目
20億だと金額的に想像がつかず、数千万円なら想像がつくという話じゃなく、そのお金が「税金=自分たちのお金」か否かという点で大きく違います。
実際、持続化給付金事業に関わって、ただのピンハネを疑われた電通は叩かれたわけで。
日本人は、税金の使い途に関わることと、いわゆる「上級国民」、特権階級にいると感じられるような権力側の人間の不正に対しては厳しい目を持っているだけだと思います。
「シカタガナイ」と考える国民性
消費増税だって文句を言わないわけじゃない。声はあげないけど、「消費しない・子供生まない・働かない」といった「サイレントテロ」という形で政府に対して反抗しているという見方もできます。
一方、「仕方がない」と諦めが早いのも事実です。
このあたりは『人間を幸福にしない日本というシステム』で既に分析・解説されている通りですね。
国民は「偽りのリアリティ」を与えられ、適度にガス抜きしている状況なのかな。全てが偽りではないけれど、問題の核心には至らない。
ただ、仕組みを根本的に変えるには大きなエネルギーが必要なので、そこまでするなら今のままでいいや、ってなるんですよね。
私は、日本人が絶えて耐えて耐え忍んでから、堪忍袋の緒が切れて爆発する時が怖いですけど。