新型コロナで浮き彫りになったデジタル化の遅れ
8日に告示された自民党総裁選。最有力候補とみられる菅官房長官が「複数の役所に分かれている政策を強力に進める体制として新設したいと思う」として打ち出した“デジタル庁”に注目が集まっている。
新型コロナで日本の行政のIT化が遅れているのがはっきりしただけに、必要性は総裁選候補の全員が認識しています。
ただこの件に関して言えば、手段と目的を混同してはいけないので、「デジタル庁」を作ったとして何をするのか次第です。
政府が発注するシステムは設計思想が古い
記事中、佐々木俊尚氏がe-TaxがIEにしか対応していなかったなど、古臭いことやっているITゼネコンに発注して出来てくる古いシステムについて指摘しています。
マイナポイント予約時(マイキーID取得時)にも、「Internet Explorer 11を使え」と言われて困った記憶があるくらいです。(その後、Chromeに対応)
マイナポイントの予約をしようとしたら、Internet Explorer 11を使えと言われたwww pic.twitter.com/5E6kb7UDr6
— 無職の分際でツイート (@retire2k) 2020年7月1日
発注する側(政府)も、受注する側(大手ITゼネコン)も、新しいものよりも昔から使っているものの方が安心する人たちなのでしょうね。
ですから「デジタル庁」を作るならば、政府が発注する全てのシステムに関して設計段階から口を挟める・設計に関われる人材と権限が必要だと思います。
専門性があるからこそ内製すべき
日本では、IT業者が「餅は餅屋」などとうそぶくことが多いように、大手ITゼネコンに投げてお任せになりがちです。
それはいわゆる「ベンダーロックイン(囲い込み)」になり、結果として高いシステムを言い値で買わされます。
行政のように専門性があるのなら、それをよく知っている自分たちで設計して、その上で発注するくらいでいいんです。
また、各省庁が別々に発注するよりも、共通する部分は利用しつつ、それぞれの専門的な部分だけを作る形も可能です。ユーザーインターフェースの統一もできますし。
一番の問題は人材確保
ただし、一番のハードルとなるのは、設計ができるレベルのIT人材の確保です。
年齢に応じた公務員の規定(棒号表)通りにしか出せません、では若くて優秀な人材は絶対に来ません。
これは日本の大手IT企業にも言えることですけどね。最近少し変化の兆しが見え始めたくらいで。
新しい総理が、若くても優秀で特殊技能を持った人材を、市場に見合った年収を出して雇うなら、期待できると思います。