政府の「行き過ぎた脱はんこ」に異議
私にしてみれば、今までが「行き過ぎたはんこ(認印)要求」がはびこっていたと感じます。
行政へ提出する書類で、実印じゃなく認印をとにかく押さないとダメだというものが多かったわけですから。
まぁ今回は様々な場面で一気に「脱はんこ」が進みそうですから、印鑑業界が危機感を覚えるのは予想していましたけど。
婚姻届・離婚届も押印廃止へ
印鑑業界では「印鑑は人生の節目に大きな役割を持つ存在」だから、高価な材料で手彫した印鑑を使うべきだとして、高い印鑑を売ってきました。
さらには「幸運をもたらす」として、 非合法な象牙で作られた印鑑を売っていた可能性もあります。
その人生の節目の一つである婚姻届・離婚届が押印廃止になったら、その意義が霞んでしまうので反対するのも当然でしょうね。
いや、離婚届に押す印鑑は逆に三文判でもいいような気もしますが。「三行半を突きつける」的な意味で。
押したい人は押せばいい
押印の義務を廃止しても、押したい人は押せばいいだけです。
はんこを押す時に何かを感じたい人は押せばいいし、人によっては名前を書く(署名)時に何かを感じるんだと思います。
「はんこを押す時に、誰しもが何かを感じる」みたいに決めつけられるのは余計なお世話ですね。
署名があれば印鑑不要に、さらに電子的な認証も印鑑に代わる手段として認めていく、ただそれだけのことです。
手彫りの印鑑の安全性はもうない
記事の中で、印章業連合組合の組合長が「職人が一本一本手で彫ったはんこは全く同じものはできないので、唯一無二ということで高い安全性を持っていると思う。」と語っています。
かつてはそう言えたと思いますが、今もそう言えるとは思いません。
3Dプリンタとコピー用のレーザースキャナによって、同じものを作れる環境が整ってしまったからです。
それに対しては印鑑の保管さえしっかりしていればいいのですが、印影から印鑑を偽造できるという話もあります。
地面師の事件では、印鑑証明の方を偽装していた事例もありますから、印鑑を過信しては危険です。
印鑑は盗まれたら終わりという時点で、そもそも安全性に疑問がある上に、印影の比較が適当にやっていた銀行もありました。
とりあえずは、シャチハタや三文判の認印でいいレベルのものまで要求しているものは早く全廃してもらいたいです。