標準報酬月額の上限が引き上げ
サラリーマンが加入する厚生年金は、給料や賞与の額に保険料率(現在は18.300%)を乗じた額を、労使折半して納めます。
労使折半は一般的に50%ずつなので、単純に言えば年収の9.150%が厚生年金保険料として天引きされ、使用者側も同額を出します。
企業の健康保険も同様の仕組みになっていて、他に労災保険などもあり、使用者側からみると雇用者の年収の15%くらいの法定福利費がかかります。
今回の標準報酬月額の上限引き上げは、額面の月収が63万5千円を超える人にのみ影響があるので、影響のある人は少ないでしょうね。
さらに将来、老齢厚生年金(報酬比例部分)でもらえる額が増えるので全くの損というわけでもありません。
厚生年金の最高受給額はいくらになる?
標準報酬月額は新設された最高等級32等級の65万円が上限で、賞与の上限は支給1回につき150万円です。
かつて賞与は厚生年金の対象外だったので平成15年4月を境に計算式が変わるのですが、平成15年4月以降分は以下の計算式で厚生年金の受給額を導き出せます。
「年収÷12×5.481/1000×加入期間」
月額は65万円が上限で、賞与を年2回150万円ずつ合計300万円もらったとすると、年収は1080万円。
ありえない話ですが、この年収で40年間勤務し続けた場合の受給額(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額)は237万円になります。
月19万円って少なっ!と感じますが、これは独身の場合であって、専業主婦の妻がいると3号として追加負担はなくこれに基礎年金(=国民年金)がもらえます。
それでも月30万円には届かないので、「ゆとりある老後の生活費36万円」を確保するのは大変ですねぇ。
厚生年金保険料が3割負担で済む羨ましい会社は…
国民年金の保険料も、厚生年金保険料(保険料率)も、このところずーっと上がり続けてきました。
国民負担率が増え続ける実質的な増税であり、可処分所得を減らしていたためにデフレを脱却できない一要因だったと思います。
労使折半で50%を負担しなければならない使用者側も正社員として雇いたくなくなるわけです。
ただ、この労使折半は必ず50%でなければならないわけではありません。使用者側が多く負担している企業もあります。
その一つがANAだったことがわかりました。
「厚生年金保険料の負担も引き上げ」って言うと、とても酷い仕打ちをされるイメージですが、今までの待遇が一般的な企業よりも恵まれてただけで、普通になるだけです。
官民で4000億円の融資を行う以上、そういう厚遇は無くさないと。
希望退職の募集も行うそうですが、他に伸びている航空会社があるわけではない今、ANAを早期退職してもどこに行けばいいのやら…