私鉄王国・関西の中で阪急ブランドは別格
関西人は、なぜ“阪急”を別格扱いするのか。鉄道ライターの伊原薫氏は「創業時から一貫して『人々の暮らしをより豊かにする』という目標を掲げ、そのための労力を惜しまなかった。それが鉄道会社らしからぬブランド力になった」という——。
阪急・南海・阪神・近鉄・京阪の5大私鉄が競い合っている関西は「私鉄王国」と言われるほどです。
その中にあっても阪急ブランドが別格なのは間違いありません。
関東の人にはなぜ阪急ブランドだけが別格の扱いを受けるのかわかりにくいと思いますが、宝塚や東宝もグループに入っていることを知れば少し理解できるのではないかと。
「タネから客を作って育てる仕事」
今時のブランドの作り方・ブランド力の上げ方と言えば、広告などを使った「マーケティング戦略」によるものが多いと思います。
阪急のそういう戦略が取れない時代から、積み上げてきたものですね。鉄道や不動産といった、長期的な視点で経営する分野だからこそですが。
「タネから客を作って育てる仕事」をしていたわけですね。昭和恐慌の時代の逸話として知られる「ソーライス」もまさにその一つ。
新型コロナで360億円の赤字から回復できるか?
しかし、新型コロナで鉄道事業はもちろん、ホテルや百貨店、エンタメ事業も大打撃を受け、阪急阪神ホールディングスの2021年3月期の業績見通しは360億円の赤字。
百貨店やホテルは外国人観光客のおかげで賑わっていた一面があるので、本格的な回復が見込めるのは相当先になりそうです。
阪急阪神HDではありませんが、東宝が『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の大ヒットで持ち直しているのが救いでしょうかね。
昭和恐慌の時のように、また「タネから客を作って育てる仕事」をして未来に繋げることができるのか。
「確かに彼らは今は貧乏だ。しかしやがて結婚して子どもを産む。」と期待しての商売は、今の時代はもうありえないことかもしれませんね。
なぜなら貧乏のままで結婚しないから…