年金の繰下げ受給は「損する」は、本当か?
それから、税金についても注意が必要です。繰下げ受給をすると年金の受取金額が大きくなるので、所得税や住民税、社会保険料などが増えます。
税金や社会保険料が高くなるから、繰下げ受給は「損」だという意見もありますが、本当でしょうか。
年金額が多い人ほど税金や保険料が増えてしまうので、年金の繰下げ受給の損益分岐点が後ろにずれ込んでしまいます。
税金や保険料が増えることは単純に「損」とも取れますが、社会のためと捉えれば損ではないはず。
自分もなんらかの税金の恩恵を受けているわけで、心の持ちようで「損」ではなく「社会貢献」になります。
まぁ中々そう思えないでしょうけどね。
それでも長生きすれば「得」
損益分岐点が多少後ろにずれ込んだとしても、「人生100年時代」の今、100歳まで生きるつもりなら確実に繰下げ受給した方が得、というのが記事の主旨です。
100歳なんて言わずとも、5年繰り下げて70歳から受給するなら、85歳でも得ですね。
「公的年金等に係る雑所得」の控除額は、65歳以上なら110万円。これに基礎控除48万円を加えた158万円以下は所得税がかかりません。
単身者の場合は、繰り下げ受給は年金額が150万円以下の人向け、と言えますかね。
もしも繰り下げを選択してる時に余命宣告を受けたら?
そもそも、年金というのは早死したら「損」。損得を考えるなら、一番大切なのは長生きするために健康に気を遣うことです。
しかし健康に気を遣っていても、事故に遭うかもしれないし、(生活習慣病ではない)病気に罹るかもしれません。
65歳以降に繰り下げ受給で年金受け取らずにいたところで、がんで「あと1年の命です」などと余命宣告されたら「65歳から受け取っておけば良かったー!」となりますね。
でもこれは遡及して「65歳から受け取っていたとして、65歳から今までの年金を一括請求」が可能です!
1年当たりの年金額は繰り下げ受給ではなく、65歳時点の年金額になりますが、例えば69歳で請求したら4年分を一括で受け取れるわけです。
大金が必要になった時に一括請求できるわけで、保険的に活用できていいわけですね。
遡及できるのは5年間までなので、例えば72歳まで繰り下げ中だったら、67歳時点に遡るという形になりますけど。
繰り下げ中に事故死や突然死をしたら「損」どころか「大損」ですが、大病したり余命宣告があったなら「大損」にはならずに済む制度があるので、繰り下げ受給は悪くないと思います。