「法人税の国際最低税率」の影響
<国際最低税率はどのように運用するのか>
各国が国際最低税率で合意した場合も、各国政府は引き続き自国の法人税率を自由に決めることが可能だ。ただ、企業が特定の国で納めた法人税の税率が低い場合、本国政府は国際最低税率に達するまで追徴課税を課すことができる。このため、利益を租税回避地に移転するメリットがなくなることになる。
イエレン財務長官が提案した 「法人税の国際最低税率」は、G20各国が税率を揃えたとしてもそれに従わない国が出てきたら意味がないのに、どうするのだろうと思っていました。
この解説ですぐに納得。法人税の税率が最低税率よりも低い国に利益を移した場合、追徴課税ができるという仕組みなんですね。
これなら各国が税率を変える必要もなく、足並みを揃える手間もなくてできるわけで。
影響を受ける国は?
影響を受けそうな国として真っ先に挙げられるのが、Appleの「税逃れ拠点」とまで言われるアイルランドです。
アイルランドにあるApple本社はペーパーカンパニーではありませんが、法人税率12.5%の恩恵を受けていることもまた事実。
もしも国際最低税率が15%に設定されたら、間違いなく影響を受けそうです。
低税率で人と企業を集めているシンガポールも影響が心配されますが、こちらは法人税率が17%なのでアイルランドほどの影響はなさそう。
とは言え、税金の安い国へと動く流れは縮小するかもしれません。
バイデン政権は法人税の増税へ
この一方で、バイデン政権は連邦法人税率を21%から28%に増税する方向へ動き始めました。
トランプ政権時代に引き下げた税率を少しでも元に戻す動きですけれど。
企業からの反対の声を受けて、25%で妥協するとの見方がされていますが、どうなるのやら。
この法人税増税は「法人税の国際最低税率」の導入とセットでなければ意味がありません。
イギリスは半世紀ぶりに法人税率を引き上げますし、日本でも法人税増税の議論が湧いてくるのかどうか…