年金は繰り下げるほど長生きする必要あり
そこで、増額目的とはいえ自身の健康状態を考慮せずにあまりにも長期間増額した年金を受け取ったとしても、繰り下げの申し出後に受け取れる年金は期間的にわずかとなっては後悔が生まれることもあります。
また、年金の目的は老後の生活保障であるため「損益分岐点」という考え方は適切ではありませんが、払った保険料に見合った年金を受け取るには繰り下げれば繰り下げるほど長生きする必要があります。
年金の繰り下げ受給の話では、どうしても単純に金額的な損得勘定・損益分岐点の話になりがちです。
繰り下げた場合には、「損益分岐点まで生きないと損」となりますが、人間いつ死ぬかわからないもの。
「長生きする必要がある」と言って、長生きできれば苦労はしません。だらだらと長生きしたからいい人生とも言い切れません。
安心感を得られればいいんじゃない?
老後の生活で不安の一つが、年金では生活費をまかないきれずに貯金が減っていくことでしょう。
その場合は、長生きすればするほど不安がつのるばかり。
繰り下げることで「年金だけで生活できる」状況が作れれば、いくら長生きしてもだいじょうぶという安心感を得られます。
早く死ぬリスクに備えるのが死亡保険で、その逆に長生きに備えるのが年金であって、どちらも安心感が大きなメリットですから。
老後を迎える前に死ぬ可能性も考えて
繰り下げ受給を選択したのに思ったほど長生きできなくて後悔することを心配するなら、そもそも年金をもらえる年齢になる前に早死にして後悔することも心配しないと。
楽しい人生・老後を過ごすためにお金はとても大切です。
でもお金の損得を優先するばかりに、現役時代を犠牲にして、やっと老後を迎えるという段階で早死にしたらそれこそ後悔します。
その後悔は単純なお金の損得よりも、老後の楽しい時間・自分の時間を過ごせなかった後悔です。
損益分岐点ばかりを気にするのは、食べ放題で(原価ベースで)元を取るために「原価が高いもの」ばかりを食べる行為と似ています。
私は自分が食べたいものを食べて満足感を重視した方がいいという考え方です。
例え老後の生活が短くなって損益分岐点で見ると損になったとしても、それまでの生活で満足できていればいいんじゃないでしょうか。