サラリーマンという特権を捨ててはいけない
「脱サラして起業したい」と夢見る人は少なくありません。でも、本当に脱サラする必要があるのでしょうか? ビジネスプロデューサー、シリアルアントレプレナー(連続起業家)として知られる松田充弘さんの著書『会社を辞めない起業』では、「失敗せずに起業するためには、会社を辞めないほうが超有利である」といいます。
「脱サラ」「独立」「一国一城の主」「雇われない生き方」など、雇われのサラリーマンよりも遥かに素晴らしい選択であるかのように喧伝されがち。
さらに「退路を断って起業しないと成功しない」という都市伝説もあるようです。
起業に成功すれば素晴らしい選択だったと言えますが、失敗する可能性も考えておかないと。
「脱サラして起業」は起業時点では成功したように見えても、それが正解だったかは長いスパンで見ないとわかりません。
勤めている会社にもよりますが、サラリーマンという特権の大きさを理解して、可能ならば副業として会社を辞めずに起業する方がいいでしょう。
私もサラリーマンを辞めて独立(フリーランス化)した当初の数年は、仕事がなくて苦労した経験がありましたから身にしみてます。
「脱サラ」流行から半世紀
ちなみに私は記事タイトルの「脱サラ」という言葉はやや古くさく感じました。
それは当たり前のことで、「脱サラ」が流行語になったのは1971年のこと。当時は脱サラ入門書が本屋に並んでいたそうです。
奇しくもFIRE入門書が本屋に並んだのがそれからちょうど50年の2021年。歴史は繰り返すというべきかな。
ゴールドラッシュで儲かったのはバケツとスコップを売った人、と言われるように、入門書を書くのが一番いい起業かも?(書けたら苦労はしないが)
脱サラ起業に成功した人が書いた入門書は、生存者バイアスがかかっていることを念頭に読むべきものです。
今でもサラリーマンは特権なのか?
一方、「サラリーマン=特権」には異論を唱える人もいるでしょう。人によって、会社によって、職場によって感覚が大きく違いますから。
ブラック企業の社畜だったら、脱サラ起業も選択肢の一つとして辞めてから考えたっていいと思います。
早期退職の募集で上乗せ退職金があるなら悩ましいところ。大金を手にして気持ちが大きくなってはいけませんけど。
サラリーマン経験しかない人(特に一つの会社しか知らない人)は、冷静かつ俯瞰してその特権について考えてみるべきですね。