大企業で相次ぐ「初任給アップ」の落とし穴
また初任給アップの流れは、大企業だけでなく中小企業にも広がっている(産労総合研究所調査)。初任給があがるのは歓迎すべきことのように思える。
だが、現実はそう単純ではない。そこには隠された「賃金制度のマジック」があると言える。
初任給はアップしたけど、終身雇用された場合の生涯賃金で考えれば上がってないか下がるかもしれない。(本人の能力や業績次第)
こう言われると今のままがいいと考える人もいるでしょうけど、日本の若い層の給料が低すぎて、逆に中高年以上は高すぎ。
それが「働かないおじさん」を作り出しているわけですし。
いきなり外資企業と同様の賃金カーブにすると混乱しますが、もう少し若い層の給料を底上げしないと、人材獲得合戦に負けてしまうかと。特にIT技術系などは。
流石にボーナスを減らして年収で見ると同じというのは罠ですね。時給換算は増えるので残業の割増賃金ではお得かな?
大卒の初任給が「昭和生まれの私」とほとんど同じ
「日本は貧しくなったと実感する瞬間」を集めた記事では、「大卒の初任給が昭和生まれの私とほとんど同じ」という声がありました。
労働統計で見ると、1993年くらいから、上昇ペースがガクッと下がって、年によっては下がってるんですよね…
時給1000円なら月160時間の労働で16万円。高卒初任給は最低賃金に近いレベルになっているのがわかります。
大卒初任給は高卒の初任給から4年分の賃金アップを加えた金額にしているだけに見えますね。
これを見て「日本は貧しくなった」と実感するのも当然です。この間、天引きされる社会保険料率はアップしてますし…
横並びの大卒初任給はもう限界
日本は大企業を中心に、大卒初任給の横並び意識が強すぎたんじゃないかと思います。
入ってからの賃金カーブは会社によって違っていて、それは表に出さないので入ってから「うちは○○社ほど上がらないよ」などと聞かされたり。
一方、高待遇を打ち出す外国企業は、60歳までいられない覚悟を持っておく必要はありますが…
ただ日本の横並び大卒初任給はもう限界だと思うし、会社の中でも職種によって違いが出てもいい。
でないと外国企業に人材獲得競争で負けてしまいますから。