過去最大の最低賃金全国平均31円引き上げへ
今年度の最低賃金について厚生労働省の審議会は、物価の上昇を踏まえ、過去最大となる全国平均31円の引き上げという目安をまとめ厚生労働省に答申しました。今後、都道府県ごとの議論を経て実際の引き上げ額が決まり、目安どおりになれば全国平均で時給961円となります。
時給1000円の地域で最低賃金31円の引き上げなら、3%の上昇。
2022年6月の消費者物価指数は前年同月比2.4%上昇なので、それと比べて上回っているのでよく頑張ったと言えます。
一方で、生活必需品(食品・ガソリンなど)の物価上昇率はもっと高いので、これじゃ足りないという声もあるでしょうね。
ここ数日、一気に円高に揺り戻しているので、値上げラッシュも一段落してくれるといいんですけど…
「賃金を上げるには中小企業の数を減らす必要がある」
最低賃金を上げる時に、反対意見として錦の御旗のように出されるのが、「最低賃金を上げたら中小企業が潰れて日本は終わる」というロジック。
それに対して「最低限すら払えない中小企業は退場してもらう」という「中小企業淘汰論」がここにきて強くなっているようで…
海外ではどんどん賃金が上昇している中で、日本だけ取り残されている現状を見れば、今まで通り中小企業を守るだけではジリ貧だと気づきますよねぇ。
「素晴らしい技術やノウハウを持つ中小企業を潰すのはマイナス」という意見がありますが、そういう会社は淘汰されずに残るはず。
中小企業同士が合併・吸収してスケールメリットを出すケースもあっていいかと。
いきなりどーんと最低賃金を上げると影響が大きいので、今回くらいの上昇率を続けていきつつ、失業者への手当は必要になりますが。
下請けの中小企業が倒産して困るのは大手企業
中小企業の多くは大手企業の下請け(孫請け・ひ孫請け)で、中間搾取(中抜き)されていたり買い叩かれているのが賃金を上げられない大きな理由。
下請けの中小企業が潰れて困るのは買い叩けなくなる大手企業なので、必要な企業が倒産・廃業しますとなったら支援やM&Aに乗り出すんじゃないかな?
国が今まで通りの延命措置的な中小企業支援をやっても日本はジリ貧だと多くの人が思い始めたのは間違いなく、政策転換のタイミングかもしれませんね。