「年収400万円あれば安心」ではなくなったニッポン
平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった。
平均年収の生活、いったい何ができて、何ができないのか?
20年ほど労働や雇用の問題を取材し続けてきたジャーナリスト・小林美希さんの注目の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、「平均年収では思うような暮らしができない国」の実情を追っている。
労働者の平均年収は400万円台とよく言われてきましたが、これを男女別にするとかなりの差があります。
国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、男性532万円・女性293万円という数字です。
もちろん年代別でもかなりの差があり、20代30代は平均より少なく、20代は男性でも平均400万円に届きません。
そこから昇給したりして400万円まで年収が増えれば、安心と思えるかもしれません。実家暮らしや一人暮らしであれば。
ただ、安心できないまでも「普通に生活」すらできないというなら、年収400万円にすら届いていない20代はどうやって生活しているのか疑問になります。
年収400万円では結婚できない現実
「普通に生活」が結婚して子ども2人を育てて、というかつての標準世帯を指しているなら、年収400万円の男性はまず結婚のハードルが高い現実があります。
婚活市場においては多くの女性が男性の年収は500万円以上を求めますから。
生涯独身の覚悟を決めるとしても、年収400万円(手取り約320万円)では都会で高い家賃を払うのは到底無理。
かといって将来や老後のことを考えて節約・貯金に励んでいる人もいるので、節約=生活苦と決めつけるのもなんか違う。
つまり、「年収400万円あれば安心」はずっと前から幻想。貧困レベルではないですけど。
平均年収以下の人は半数いる
日本では平均にこだわる人が多いと思われ、年収も「平均あれば安心」なのかもしれません。
ただ中央値は平均よりも低く、平均年収以下の人は半数以上いるはず。
それでも日本で年収400万円以下で生活が苦しい人で溢れかえってないのは、共働きで世帯年収は800万円あるとか、実家暮らしの子ども部屋おじさん・おばさんであったりするからでしょう。
「年収400万円あれば安心」はほとんどの人にないけれど、生活苦かどうかはその人の環境によって違うので一括りにはできません。
同じ年収400万円でも残業ゼロの人と残業MAXの人とでは幸福度も違いますしね。田舎に住んでいたらスタバなんて我慢も何もそもそもお店がないし。
ただ、低収入の人の生活が今後益々苦しくなっていくことだけは間違いなく、得体の知れない将来不安が大きくなっていることは事実でしょう。
絶望する人が増えていくと怖いですね…