「老後4000万円問題」に対する適切な向き合い方
老後資金が4,000万円必要になるという朝の情報番組での報道がきっかけとなり、今年5月から6月頃にかけSNSを中心に賛否両論が巻き起こったのを覚えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、この放送を見て「こんなに貯められない」と絶望している人や「絶対に4,000万を貯めなければいけない!」と焦っている人がいたとすると、それは数字に踊らされてしまっているかもしれません。
記事に書かれているように、インフレ率3.5%が20年続くという設定で導かれた数字ですからねぇ。
金融庁が出した「老後2000万円問題」と比べて、「老後4000万円問題」はテレビの番組が出しただけなので、それほど一人歩きはしてないようです。
というか、こういうときに「数字が一人歩き」と言われますが、実際には歩かせている人がいると思ったほうがいい。
フィナンシャルプランナーにとっては、不安に思って相談にくる人が増えれば仕事が増えていいわけで。
アップデートしない方が問題
「老後2000万円問題」は2019年の家計調査の数字から導かれたものにすぎず、これをアップデートせずに一人歩きさせている方が問題です。
2022年の家計調査の数字なら、毎月の赤字は約22000円で、30年で必要なのは約800万円(「老後800万円問題」)、最新の2023年なら赤字は約38000円で「老後1365万円問題」です。
都合の悪い数字はアップデートしないフィナンシャルプランナーや専門家が多数いるということですね。
資産形成の相談に政府からクーポン
一方、政府は金融経済教育推進機構の認定アドバイザーへの相談にかかる費用の8割を負担する制度を始めるそうです。
金融経済教育推進機構は政府・日銀・全国銀行協会によって設立したものだそうですが、「顧客の立場で中立的に助言する」が本当にできるのかどうか。
銀行なんて自分たちの利益優先で金融商品を売っていたわけですし、アドバイザーが自分の利益になる誘導をしないよう、どう監視するのかわかりません。
そんなことするくらいなら、日銀が大量に持ってるETFを配ってくれませんかね…