「全納税者が確定申告」の影響調査
会計業界の84%が「確定申告を忘れて各種控除が受けられなくなる(=税負担が増える)ケースが続出する」と予想している実態が明らかになりました。確定申告を適切に行えない労働者へのケアが不十分だった場合、基礎控除や配偶者控除などが適用されず、個人の税額が大きく増えるケースが考えられます。
自民党総裁選に立候補した河野太郎氏が打ち出した、「年末調整廃止・全納税者の確定申告化」という政策が話題になっています。
Xでは「税務署パンク」がトレンド入りしていましたが、こちらの調査の「確定申告を忘れて各種控除が受けられなくなる(=税負担が増える)ケースが続出する」にしろ、今のままの税制や申告制度のままで全員確定申告にするという想定で考えているようです。
流石に基礎控除・扶養者の控除については、考慮した上で源泉徴収税額が決められているので、全額が大きく増えるとはならないでしょう。
ただ複雑で面倒だからと申告しないと、これまで年末調整で返ってきた分が税額アップとなるのは間違いないです。
今の年末調整においても、生命保険や個人年金の支払いを申告せず、税額増えてる人いるでしょうし。
誰でも簡単に申告できるようにする前提?
河野太郎氏の説明では「移行期間を経たうえで」、申告に必要な数字は自動で入るようにして「ほとんど手間要らずで出来る」という前提です。
これが実現してほとんどの人がネットで申告できるなら、「税務署パンク」とはならないはず。
もちろん今の仕組みのままなら、様々な問題が発生するのは間違いないですが、勝手にそうだと決めつけて批判するのはどうかと。
どちらかというと問題は、「ほとんど手間要らずで出来る」仕組みを本当に構築できるのか、ということ。
e-Taxを開始当初から使っている私としては、税制の用語のわかりにくさや税制の複雑さを根本的に改革しないと無理だと感じます。
それをした上で、わかりやすい申告システムを作れるかというとそれもまた怪しい。
河野太郎氏の言うような仕組みの実現性がとても低いと思っています。
税に対する意識は高まりそう
サラリーマンの税金・保険料は天引きされるため、それが税・政治に対して意識を低くしている原因だと言われます。
確定申告をすれば、自分が税金を年間でいくら払っているかを目にするので、それが最も良い効果になるでしょう。
為政者にとっては「由らしむべし知らしむべからず」の方が良いのでしょうけどね。