基礎控除75万円引き上げなら7.6兆円の税収減
国民民主党が主張する「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げのため、仮に所得税と住民税の基礎控除を現行より75万円引き上げた場合、国と地方の合計で年約7兆6千億円の税収減になる見通しであることが30日、政府の試算で分かった。納税者にとっては減税となり、税金が高い高所得者ほど効果が大きいとの試算も判明。納税者の手取りが増える恩恵の一方、公平感や税収減を補う財源などを巡り議論を呼びそうだ。
「年収の壁を103万円から178万円への引き上げ」を基礎控除の引き上げのみで実現するならば、この試算は正しいです。
ただ「高所得者ほど減税額が大きい」という煽りは、税収減を嫌った財務省が出してきた感が強いですね。
しかし国民民主党の主張は「基礎控除等の引き上げ」で給与所得控除も含めてると考えられるので、これをそのまま国民民主党の案だと言うのはちょっとおかしい。
給与所得控除はやり方次第
給与所得控除は年収が高くなるほど控除率は下がる仕組みです。
令和2年分以降の給与所得控除額は以下のような計算式になっています。
年収162.5万円までは一律55万円ですが、この部分のみを引き上げ、それ以上の部分は逆に控除額を減らすテーブルにすることも可能です。
つまり低所得者には減税、高所得者には増税もしくは現状維持ですね。
そうすれば税収減は政府試算の7.6兆円よりも少なくできるでしょう。
財務省の人間ならそんなのわかりきってるはずで、反対の声を大きくするためにわざと基礎控除の引き上げのみで高く見積もって出してきたのでしょうか。
サラリーマンに税知識を広めるチャンス
基礎控除や給与所得控除の引き上げは、多くのサラリーマンにとって減税になりうる政策です。
ただマスコミが「年収103万円の壁対策」ばかり言うことで、自分には関係がないと思っているサラリーマンもたくさんいそう。
元々、給与所得控除の存在を知らないサラリーマンの中には、「自営業者は何でも経費で落とせていい」などと思ってる人もいます。
今回の政策議論が盛り上がり、給与所得控除とは何か、基礎控除とは何か、という知識が深まればいいですね。