「60代6000人の声」アンケートの結果から
退職して定期収入がなくなったとき、人はどんな気持ちになるのでしょうか。勤労時と同様に、お金を使うことができるのでしょうか。フィンウェル研究所の代表、野尻哲史氏の調査によると、「60代の自分の資産に対する満足度」は低いといいます。それはなぜなのでしょうか。
フィンウェル研究所が行った「60代6000人の声」アンケートの結果を基に、資産水準の満足度と生活全般の満足度の関係性について考察したものです。
60代に聞いた、「生活全般」「健康状態」「仕事・やりがい」「人間関係」「資産水準」それぞれの満足度では、「資産水準」の平均が最も低いという結果に。
保有資産額と資産水準の満足度では、2000万円までは資産額が増えるほど大きく上昇し、2000万円以上は緩やかな上昇カーブを描いています。
「老後2000万円問題」の影響をかなり受けていると思われる結果ですね。
資産額が多いのは高収入だった人
保有資産額が多さと現役時代の収入の多さは相関があると考えられます。
なので生活全般の満足度の高さと、資産水準の満足度の高さの相関係数が大きいのは、現役時代の収入の多さとの相関でもあり、現役時代の生活満足度との相関でもあると考えられます。
当然年金水準も高いので、65歳以上で年金をもらっている人では生活全般の満足度が高くなるのも当然のことですね。
それでも保有資産額が1億円以上の人たちでも、満足度は5段階の4.0という結果ですから、お金の不安は尽きまじといったところなのでしょうか。
健康と資産は将来の不安が尽きないもの
満足度を聞いた5項目のうち、「生活全般」「仕事・やりがい」「人間関係」の3つについては、現在とこれまでの満足度で答えるもの。
一方、「健康状態」と「資産水準」については、現在に加えて将来の不安がどれだけあるかの要素も入ってきます。
病気や介護になったらいくらかかるかわからないし、逆にいくらあっても困らないのがお金です。
「健康状態」と「資産水準」は、満足度を聞くよりも安心度(不安度)を聞く方がいい項目かもしれません。
しかしながら、資産が減ると不安が増すという構造にはなるため、資産を取り崩せないまま死んでいくパターンになる人は多くなるのも致し方ないですかね…