高齢無職世帯のデータから読み解けること
「老後2000万円問題」は、総務省が毎年出している『家計調査報告』の「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支」の2017年時点の毎月の赤字額を基に算出したものです。
赤字額は毎年変化するものですが、その理由の一つに平均収入額が増えたことがあります。
その原因は、収入が少ないため働き続けるという選択をする人が増えたため、無職世帯は収入が多い人の割合が増えたからだろうという推察をされています。
半数以上が70歳まで働いている
65歳以降も働き続ける人が増えているのは、労働力調査でもわかる通りです。
65歳以上の高齢者の就業者数は900万人以上となり、65~69歳の就業割合は50%以上にまで増えています。
高齢者で働く人の全員が年金を始めとする収入や資産が少ないためではないと思いますが、生活費のために働き続ける人が多いでしょうから、結果として無職世帯の統計にも影響が出てくるのは事実でしょう。
働き続けるなら2000万円も必要ない
「老後2000万円問題」は、65歳から無職となり家計調査の平均の赤字額を出しながらの生活を95歳まで30年間続ける場合、という想定での試算です。
70歳まで働くなら、赤字の生活の想定は25年分の計算で済みますし、年金を繰り下げ受給すれば赤字を減らすこともできます。
65歳で完全リタイアするか、65歳以降も働き続けるか、どちらかが圧倒的な多数派という時代ではないですし、選択肢としてもっておくべきという意見には同意です。
それよりも、65~69歳の就業割合は50%以上もある時代ですから、家計調査では「夫婦高齢者有職世帯」や「単身高齢者有職世帯」の収支もグラフ化して出すといいのでは。
平均だとわかりにくくなるので、中央値も出してくれるとなお良いかな。