年金繰上げ受給を後悔
「元気なうちになるべく早く年金を受け取りたい」と考える人にとって、年金の繰上げ受給は有効な選択肢でしょう。また、繰上げの減額率が緩和されたことで「年金繰上げはお得」というイメージも広まっているようです。しかし、安易な繰上げ受給は思わぬ悲劇を招くかもしれません。インターネットの情報から年金繰上げを選んだ62歳女性の事例をもとに、年金繰上げ受給に潜む“落とし穴”をみていきましょう。
ここでの「年金繰上げの落とし穴」とは、夫が亡くなったため遺族年金(+寡婦加算)を受けるために、自分の年金(基礎年金)が支給停止になってしまったと。
夫がかなりの年上なら想定しておくべきだったかもしれませんが、1歳下(?)のようなので、そりゃ想定外でしょうね。
でも、「繰上げ受給で損をした!」と嘆くよりAさんよりも、全く年金を受け取れずに亡くなった夫のBさんの方が後悔してるんじゃぁ…
ネットでは「繰上げは得」という情報ばかり?
確かに、1ヵ月あたりの繰上げ減額率が-0.4%になったことは話題になりましたし、繰り上げ受給のメリットが増したのは事実です。
ただ「ネットでは『繰下げは損』『繰上げは得』という情報ばかり」かというと、そうとは思えません。
むしろ「人生100年時代」などと長生きするリスクの方が叫ばれているわけで、できるだけ働いて繰上げ受給を勧める記事も少なくない。
特に男性よりも平均寿命が長い女性の場合は繰下げ受給のメリットを享受できる可能性が高いですし。
「確証バイアス」に陥った可能性
しかしながら、人間は先入観を排除しきれないもの。
認知バイアスの一つに「確証バイアス」がありますが、これは自分が信じたものを支持する情報ばかりを集めてしまう傾向のこと。
つまり「繰上げは得」と思い始めてからは、その情報ばかり集めてしまったのではないか、と。
ネットの中でも特にSNSや動画サイトでの情報収集では、偏った情報が集まりやすいですね。
だから本当の「落とし穴」は自分の認知の歪みに気づかないまま、突き進んでしまうこと。
「フィナンシャルプランナーが言ってることだから」というのも認知バイアスの一つ「権威バイアス」が入っていますから、気をつけたいですね。
