通勤手当が課税される日は本当にくる?
一部のメディアが、「通勤手当や失業等給付にも課税される」「サラリーマン増税」と報じたことで、岸田総理や松野官房長官が否定するなど火消しに追われています。
給与所得控除や退職金税制については見直しの対象になっているとは思いますが、通勤手当や失業等給付について「課税される!」と騒ぐのは明らかにマスコミのミスリード。
記事にあるように通勤手当は「主な非課税所得の例」として挙げたに過ぎません。
であるのに「サラリーマン狙い撃ち!」を強調して報じるのは、注目を集めるためにわざとやっているのかもしれませんね。
通勤手当は明らかに「必要経費」分類されるものだし、流石にそれはおかしいと誰しもが怒るものですからねぇ。
鍵は退職金税制
多くのサラリーマンは会社におまかせで税金の計算・納税についてあまり意識していないのに、隣の芝生は青く見えるのか、「自営業は経費で落とし放題」などと誤解をする人もいます。
給与所得控除をよく知ればサラリーマンが恵まれているのはよくわかると思うんですがねぇ。
さらに恵まれているのが退職金税制ですが、こちらは手厚すぎるのでメスが入ってもおかしくないと常々思っています。
勤続年数に応じた控除はまだしも、それを超える金額(課税対象)をさらに半分しているのは特に高所得サラリーマン優遇税制になっています。
退職所得控除額は38年勤務した場合で2060万円。中小企業サラリーマンの多くはこれを超えないので税金はゼロになります。
森永卓郎氏が問題にしているのは、控除額を超える部分をさらに2分の1にしたのが課税対象になり、分離課税であるため、それが「富裕層優遇税制」だと。
かつては高級官僚の「渡り」で利用されてきた制度
かつてこの制度は、高級官僚の「渡り」(天下り先をいくつも渡る)で利用されてきました。
天下り先を2~3年で退職し、巨額の退職金を受け取る。その際の税金のうち課税対象は2分の1になるので給料やボーナスで受け取るよりも税金が少なくて済むというもの。
これは批判の対象となり、役員等で勤続5年未満の場合には2分の1が適用されなくなりました。
この2分の1の制度はもう無くすか縮小してもいいんじゃないかなぁ。退職所得控除額自体がかなりの金額になるので、それで恩恵を得るのは限られるわけだし。
こっちの「サラリーマン増税」はあってもおかしくないんですが、マスコミの皆さんは増税対象になる側(退職金が2000万円を大きく超える)だから逆に騒がないかな…