人間使い捨て国家・ニッポン
明石氏は、主に労働問題を扱う弁護士で「ブラック企業被害対策弁護団」の事務局長。本書は、労働法は罰則が緩く、企業はむしろ残業代を払うよりも罰金を払う方が得といった歪んだ現状をはじめ、酷使される公務員やコンビニオーナー、外国人技能実習生など、日本の社会問題全般にも切り込んでいる。
バブルが弾けた後、派遣法改正で対象職種が増えるなどして非正規が増えたことで、経営者には「代わりはいくらでもいる」意識が染み付いたのかもしれません。
近年のように労働力不足になっても同じことをやっている企業は、どんどん人手不足倒産へと追い込まれているわけですが。
人間の使い捨ては戦時中から変わっていない
日本が昔から「人間使い捨て国家」であることを示すエピソードは、インパール作戦などを始めとして戦時中にたくさん残されています。
だから日本は「もはや人間使い捨て国家」ではなく、「やっぱり人間使い捨て国家」なのだと思います。
しかし高度経済成長期のように、人手不足になると使い捨てにはしていられなくなりますから、今は転換するチャンスのはず。
罰則強化も割増賃金増加も必要
「人間使い捨て国家」から脱却するためには、記事にあったように罰則強化は本当に必要でしょう。
法律制定当時から貨幣価値が変わってるのに、罰金額はそのままになってるんじゃないの?って思うような法律はありますし、労働法はもっと増やすべきです。
割増賃金を一律50%にすれば、残業をさせることが割高に感じて、させないようにするでしょう。
ついでに、未払いの場合にはさらに割増で請求できるような法律にしたらいいかも。
「目先の利益を優先する財界と自民党の癒着」というのも原因の一つではありますが、本来それに対してNoを言うべき労働組合が機能していないのも原因の一つ。
「人間使い捨て国家」から脱却するいいタイミングではありますが、変えるには労力も時間もかかりそうですね。