負け組サラリーマンは「老後は生活保護費以下」
サラリーマンといっても給与事情は人それぞれ。たとえば「大卒で正社員」という立場は一緒でも、驚くほど高給だったり、逆に驚くほど薄給だったり。そんなサラリーマンの頂点と底辺を比較すると、どれほどの差があるのでしょうか。
「負け組サラリーマン」の定義にもよりますが、大卒で22歳から60歳まで年収400万円だった場合、受け取る厚生年金は年約165万円(月13.75万円)になります。
地域によっては生活扶助費と住宅扶助費を合わせた額がこれに近いので、この時点で「生活保護費レベル」と言ってもいいくらい。
さらに「国民年金と合わせても、月13万〜14万円。手取りは85〜90%となるので、実際に手にするのは、11万~12.5万円ほどになるでしょう。」として、生活保護レベルだと。
んんんっ!? 「手取りは85〜90%」ってどういう計算で出てきた数字なの?
同じ連載の別の記事でも「実際の手取りは85~90%程度」とあります。
SGO編集部ではもう確定した常識となっているのでしょうか。公的年金控除が110万円あることを考えると、もっと低いはずですが…
年金月13万円の手取りは本当のところいくら?
そこで年金月13万円(年156万円)のケースで、本当の手取りがいくらなのか、ちゃんと計算してみました。
条件は収入は年金のみ156万円、自宅(固定資産)はなし。
まず、年金収入156万円から公的年金控除110万円を引いて「所得は46万円」となります。
- 所得税=所得46万円から基礎控除48万円と社会保険料を引くと「課税所得0円」
- 住民税=所得46万円から基礎控除43万円と社会保険料を引くと「課税所得0円」
所得税は非課税、住民税は所得割はなく均等割(約5300円)のみになります。(均等割非課税ラインをギリギリ超えている)
一方、国民健康保険と介護保険についても所得46万円から基礎控除43万円を引いた3万円を基準に計算されます。(東京都江戸川区のケースで計算)
- 健康保険=3万円×8%+4.71万円(均等割)×0.5(5割減免)=2.6万円
- 後期高齢者支援分=3万円×2.76%+1.62万円(均等割)×0.5(5割減免)=0.89万円
- 介護保険料=住民税課税者の第6段階として8.5万円
合計で約12万円となりました。所得が43万円を超えているので、均等割は7割減免ではなく5割減免で計算しました。
よって、年金収入156万円から引かれるのは住民税の均等割と健康保険料・介護保険料の合計で約12.5万円ですね。(※住む市町村によって変わります)
年金月13万円の手取りは約12万円
というわけで「年金月13万円の手取りは約12万円(12万円弱)」としておきました。
年金月12万円なら「手取りは約92%」となります。地域によりますが、「手取りは85〜90%」は流石にありえない。まぁ月12万円は生活保護費レベルですけど。
ちょうど課税所得がゼロになるボーダーラインなので、月13万円より多い人は所得税・住民税がかかっていきます。
月16万円なら手取りの割合はもっと下がり、手取りが90%以下になるかもしれません。
一方で、介護保険料は「住民税非課税世帯」はかなり減免されますが、年金のみの収入の場合は155万円がそのラインです。
つまり年金月12万円(年144万円)なら介護保険料が下がるし、健康保険料の均等割も7割減免になるため手取りの割合はもっと大きくなるはず。
市町村によって変わるのでどこに住むかも大きな要因ですけれど…