珈琲店を開業し老後を大満喫していたのに…
年金受給額も貯蓄額も十分と思っていても、予想外の事態により老後破産に陥ることはあります。本記事で紹介するSさん夫婦もそうでした。では、老後の生活を安心して送るためにはどうすればよいのでしょうか?
「念願の珈琲店を開業して老後を満喫」からの「老後破産」とのタイトルを見て、誰しもが予想したのは「珈琲店の経営失敗」ではないでしょうか。
定年退職後に退職金を元手にカフェや手打ちそばを開業して失敗し、虎の子の退職金を溶かして離婚に至る話を聞きますから。
もちろんうまく成功させる人もいます。でも成功者の話だけで自分も同じように成功できると考えるのは間違い。生存者バイアスがかかっていますからね。
2人の子どもへの援助で老後破産へ
ところが珈琲店開業資金等で使ったのは約1,000万円で、店も軌道に乗り始めていたと。
老後破産への引き金を引いたのは2人の子どもで、精神の病気を患った長男には毎月25万円の援助を10年続ける計算(10年合計3000万円)で、独立開業したものの経営難に陥った長女には1000万円の援助をして、貯蓄5000万円が消えるという話でした。
「珈琲店を開業」の文言でこれが原因だと思っていたら、まさかの展開ですね。
確かに子どもや孫のためについついお金を出してしまい、老後資産を減らしてしまうケースはよく聞きます。
でも毎月25万円の援助を10年続けなければならない長男て…いくら病気だとしてもそれはどうなのかと。
「専門家のアドバイスを受けましょう」を訴えたいための事例なのでしょうけど、さすがに想定に無理がありすぎ。
レアケースを想定したら安心な老後の生活などない
こんなレアケースで不安を煽りながら「老後の生活を安心して送るためにはどうすればよいのでしょうか?」と問われても、絶対安心はないとしか言えないでしょう。
最近だったら、闇バイトで雇われた強盗団に襲われて「こんなはずでは…」になるケースだって想定しておかないと。
なんなら「信頼できる専門家だと思って相談したら、とんだ悪徳のFPだった」ケースも想定してはどうかな。
退職金をもらった高齢者を銀行がカモにしていましたし、専門家を名乗る人間が全て信頼できる保証はないわけですから。