退職公務員生活状況調査
例年、なりたい職業ランキングで上位にランクインする「公務員」。給与や待遇面から「安定」のイメージが強いですが、FP Office株式会社の髙屋亮FPは「先々まで考えたとき、必ずしも安泰とはいえない」と警告します。
「公務員が安泰」と言われる理由は「定年まで潰れることはない」であって、定年後も死ぬまでゆとりある生活を保障する(生涯安泰)ものではないはずですが…
しっかり定年まで勤め上げれば、退職金は中小企業を含めた民間全体からみれば多い部類ですし、ゆとりはなくともそれなりの老後生活が送れるレベルだとは思います。
ただ、「退職公務員生活状況調査」は直近に60歳で定年退職した人を追跡調査したものであり、まだ年金生活をしていない人たちです。
生活が赤字になっているケースも
「退職公務員生活状況調査」の令和2年度版は、令和元年に定年退職したばかりの人を対象にしたもの。
多くの人が再任用を中心に働いており、勤労者世帯の平均月収は38.8万円、支出は38.0万円です。
家計は「ゆとりはないが、赤字でもない」が40.3%で最も多いものの、「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」が23.5%、「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」が16.7%で、赤字の世帯も4割ほど。
世帯構成別で見ると、単身以外では「二世帯(子と同居)」が赤字家計となっており、子育てが終わっていないことが最大の赤字の原因と推測されます。
これをもって「公務員は生涯安泰じゃない!」と煽るのはちょっとおかしい。
民間も含めて、役職定年や60歳定年後の再雇用時に収入が減って今までのような生活ができなくなるのは普通のことですし。
大学時代が子育てで最もお金がかかる日本において、60歳で収入減になる現状があるころが少子化の要因の一つであるとは思いますが。
「退職金2000万円あっても不安」と投資に手を出す方が危険
国家公務員の定年退職者の退職金平均は2000万円超え(ただし税金はかかる)ですが、記事では30年で割ると「月5.5万円で、むしろ年金の上乗せとしては少ない」などと煽っています。
これを真に受けて、定年後に退職金を一気に投資するのが一番怖いやつ。投資をするなら現役時代からやっておいたほうがいい。
そういうカモを一人でも増やすために煽っているのが金融業界の怖さですねぇ。
定年後、年金をもらい始めるまでは「ゆとりはないが、赤字でもない」家計を目指して生活を徐々に変えていくのが先決でしょう。