お金は「増やし方」より「使い方」こそ大切
お金の「増やし方」について長年アドバイスをしてきた筆者だが、今回はお金の「使い方」の大切さについてお伝えしたい。お金には「使い時」があり、ただただ貯めるよりも大事な「使い道」があるのだ。
人間いつ死ぬかわからない・いつまで生きるかわからないからこそお金が使えない。「人生100年時代」などと騒がれるとなおさら。
山崎元氏が「お金の使い方」の大切さについて語るのは、がんに罹患したことでいつまで生きるかわからない状況ではなくなったからでしょうか。
「お金の増やし方」ばかりを考える生活を続けてしまったばかりに、気持ち良くお金を使うことができなくなってしまうのはもったいない人生に見えます。
生活費を極端に切り詰める「守銭奴型FIRE」に疑問
生活費を極端に切り詰める「守銭奴型FIRE」は、そのもったいない人生の一つに映っているようです。
少しでも早くFIREをするんだ、と20代・30代の生活で生活費を極端に切り詰めた節約生活をして40代でFIREしたとしても、投資(人的資本への投資)と消費(経験の消費)の両面で最適ではないと。
定年までがむしゃらに働き続けて、いざ定年した時には仕事関係以外の人間関係がなく、趣味を持っておらず、やることがなくて暇を持て余す高齢者と同じですね。
人的資本への投資はともかく、経験の消費については体力のある若いうちにやっておいた方がいいことがありますし。
私も生活費をかなり切り詰めた時期(主に30代中盤からセミリタイアするまでの10年間ほど)があり、耳が痛い話です。そこまで極端ではなかったつもりですけど。
逆に若いからといって「宵越しの銭は持たない」ような、あるだけ使う生活も最適ではなく、バランスが求められるわけですが。
「将来役に立つか」だけでいいのか
では経験の消費は何をすべきなのかというと、「この時期にしかできない経験」と「将来も役に立つような良い経験」には惜しまず使えと言います。
これは正しいと思いますが、「今しかできない」の判断は難しく、大きく捉えたら際限なくなるし、小さく捉えたら全く使えない難しさがあります。
また、将来も役に立つ=将来の収入がアップするという意味でとらえると、別の意味で損得勘定だけの守銭奴的な考え方です。
将来の収入・金銭的には役に立たない、他人には無駄に見えるかもしれないことが幸せな人生にするわけで、そこにどこまでお金を使うべきかを語ってほしかった。
老後も役に立つのは、なんら収入には貢献しない趣味・娯楽の消費の経験だと思うんですよね。もちろん使いすぎは厳禁です。