「年金」だけで暮らすのは想像以上に過酷
老後の生活を豊かにするためには、まず、公的年金で老後の必要資金をどれくらい賄えるかを知っておく必要があります。老後の生活にはいくらかかるのか、年金でどこまでカバーでき、いくら足りなくなるのか、その目安と、足りない場合の解決方法について、FPの浦上登氏による著書『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)から、一部抜粋して紹介します。
もらう年金額(厚生年金)は、現役時代の収入・働き方によって変わるので一概には言えませんが、老後を年金だけで生活するのが難しいことは事実でしょう。
ただ結論の1番目に「共働き会社員、片働き会社員、個人事業主いずれの場合も年金だけで老後の生活費を賄うことはほぼ不可能。」となっているのは疑問です。
自分で何もしなければ国民年金(基礎年金)だけになる個人事業主は不可能といって差し支えないし、片働き会社員も苦しいとしても、共働き会社員まで入れるのはどうなのか。
年金30万円ある共働き会社員だった世帯も赤字に?
共働き会社員だった世帯と言っても、夫婦の現役時代の収入次第で年金額が変わりますが、記事では年金額を夫婦合わせて30万円と想定しています。
「老後2000万円必要!」の基となった、総務省の家計調査における高齢夫婦無職世帯(2017年)の支出額でさえ、26.3万円ほどであり、30万円あれば赤字にはなりません。
そこで生命保険文化センター調査の「老後の最低日常生活費が月23.2万円、ゆとりある老後生活費が37.9万円」が登場。
ゆとりある老後生活を送ろうとしたら赤字だから、全ての世帯が「年金だけで老後の生活費を賄うことはほぼ不可能」という結論が導かれてしまいました。
いや待って、いつの間にかゆとりある生活しなければ死ぬかのような話にすり替わってる?
「共働き会社員なら年金だけで生きていけるだろう」じゃあかんのか?
「年金だけで暮らすのは想像以上に過酷」という結論ありきでデータをかき集めたのでしょうかねぇ。
ゆとりがある日本人は僅か6.6%
そもそも日本人で「ゆとりある老後でなければならない」と考えている人はどれくらいいるのだろうか?
厚生労働省の『2022年 国民生活基礎調査』によると、最新のデータで「ゆとりがある」と「ややゆとりがある」を合わせて6.6%という結果でした。
「ゆとりある老後」は理想ではあっても、今の生活の現実を見れば多くを望まず、「普通(人並み・平均)」であればいいと考える人が大半ではないかと。
老後のゆとりのために今を我慢して必死に貯金をするよりは、今の生活に多少のゆとりを持ちたいと思うものですよねぇ…