「ゆとりのある老後」は必要なのか?
ゆとりある老後を送るには、どれくらいのお金がかかるのか。独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)の五十嵐修平さんは「民間団体のアンケート調査では、月38万円が必要という結果だった。この場合、平均余命からは3550万~5000万円が必要という計算になる」という――。
生命保険文化センターが現役世代に聞いた調査での「ゆとりある老後に必要な生活費」が月38万円だから、「ゆとりのある老後には月38万円が必要」という深刻な現実があるという毎度おなじみの論調の記事ですね。
月38万円必要なのは「月38万円使えるゆとりのある老後」であって、「月32万円でほどほどにゆとりのある老後」もあれば、「月28万円でちょっとだけゆとりのある老後」もあるわけで。
そんなわけでタイトルは進次郎構文になってしまいました。
そもそも家計調査における高齢無職夫婦世帯の平均支出は消費支出のみで24万円ほど(非消費支出を入れて27万円)なので、生命保険文化センターの調査で言えば必要最低ラインですしねぇ。
老後のゆとりと今のゆとりは相反する
老後のゆとりを重要視して、今の生活のゆとりを削ってまで貯蓄・投資に回すべきなのか?
両方のゆとりを確保できるほど収入があればそれにこしたことはないけれど、現実はそう甘くはないわけで。
「少しでも早くFIREするために若い時期を犠牲するのは是か非か」論とよく似ています。
人生においてリソースをどの時期に割り振るか問題において、老後危機を煽られすぎて老後の方に重きを置きすぎるのはどうかと。
老後は最低限の生活でいいから、今の生活を楽しむという選択肢は考えないのかと思ってしまいます。
インフレは「早く買って楽しんだ方がいい」でもある
記事でもインフレについて書かれていますが、それは「資産運用が必要だ」という結論だけです。
インフレのもう一つの側面は、将来買うよりも今買った方が安いということ。
このまま日本以上に海外でインフレが進んだら、海外旅行なんてもっと高くなって行きにくくなります。
老後の海外旅行よりも、若くて体力のあるうちの海外旅行の方が安くて楽しめるということになりますよね。
現役時代と老後、どっちに重きを置くかは人それぞれだし、両方ゆとりがあるにこしたことはありません。
少なくとも現役時代は老後のためにと我慢しすぎず、後悔しない程度には楽しんでおかないと。