認知症新薬年間390万円
アルツハイマー病の進行を遅らせるとされる新薬「レカネマブ」。年内にも公的医療保険が適用され、患者への投与が可能になる見通しとなった。価格は年390万円(2万6500ドル)だが、高額療養費制度があるため、患者の自己負担は年約14万円が上限(70歳以上の一般所得層)。認知症患者約600万人のすべてに投与されるわけではないが、公費の大幅増は必至だ。医師の筒井冨美さんは「日本の社会保障制度を破綻させかねないリスクがある」という――。
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が承認され、アルツハイマー型認知症の患者に投与が開始されれば、大きな市場になることは間違いありません。
ただし、年2万6500ドル(約394万円)という価格はアメリカでの価格であって、日本で保険適用される場合の薬価は協議されて決められます。
市場規模が大きいことから、薬価の特別ルール適用を検討しているようで。
市場規模が大きければ多少安くしても開発費の回収ができると考えられますからね。
「医学の進歩が国家を破壊する」
この話の流れは、がん治療薬「オプジーボ」が登場した後の2015~2016年に、これが広くがんの治療薬として適用されたら国家財政を破綻させるのではないか、と話題になったのと同じですね。
ただ、年394万円よりは安い薬価に設定されたとしても、高額であることは変わりなく、がん治療薬や手術のように1度きりではなくずっと使い続けるものなので相当な金額になることが危惧されるのは間違いありません。
要介護者を減らせれば介護保険にはプラス
レカネマブが認知症治療に大きな効果を発揮するなら、要介護者を減らす・要介護度が進むのを遅らせる効果で介護保険の悪化を防げるかもしれません。
ただそこまで効果があるのかというと微妙なんですよねぇ…
健康保険財政の悪化度と介護保険財政は改善度を比較して、トータルプラスであればいいのですけれど。
仮にそうであっても介護保険に関わるのは40歳以上なので、40歳未満は負担増になるので調整が必要になります。
薬価はこれから決められますし、どういう人に投与すべきなのかというのもまだはっきりしていません。
記事にあるような「日本社会の死生観の見直し」を含め、逃げずに議論すべき時でしょう。