「働きもしないで、プー太郎男」などと言ったら名誉棄損で逮捕
今年7月、宮城県登米市内のスーパーマーケットの駐車場で、40代の男性に「働きもしないで、プー太郎男」などと言ったとして名誉棄損の疑いで男女3人が逮捕されました。
「働きもしないで、プー太郎男」「お前たち泥棒なんだよ」などと言われた40代の男性、刑事告訴するとは強いですねぇ。
普通なら泣き寝入りするだけの案件だと思います。
仮に訴えたとしても、周りで聞いていて覚えている人がいないとどうしても言った・言ってないの水掛け論になりかねません。
男性は証拠となるよう録音していたのかもしれませんね。
「真実を言っただけ」でも名誉毀損になる
よく、「馬鹿に馬鹿と言っただけ」や「事実(真実)を言っただけ」だから、名誉毀損や侮辱にはあたらないと誤解をしている人がいます。
刑法230条(名誉毀損)の条文は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず」とある通り、事実があってもなくてもアウト。
一方、刑法231条(侮辱)は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱」した場合で、これは単に「馬鹿」と言ったケースなどに適用されます。
法律で使われる「事実」とは、「実際にあった事柄(あるいはあったとする事柄)」を指し、「真実」という意味ではありません。
ただし、刑法230条の2項により「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合」には罪に問われません。
例えば、政治家などが行った公共の利害に関する事柄を知らしめる行為ならば問題ありません。
しかし個人の場合はそれが真実であったとしても、公共の場で言うと名誉毀損・侮辱にあたると理解しておくべきです。
セクシャルマイノリティである事実を、本人の了承なく言いふらす行為などがまさにこれで、真実であっても言ってはいけないことがあります。
「泥棒」が一番問題か?
今回逮捕されたケースで見ると、「働いてない」は事実でありその男性が自ら言っていたことなら問題にならないかな?(白に近いグレー)
「プー太郎男」も本人が言っていたら別ですが、通常は侮辱にあたるでしょう。(黒に近いグレー)
記事の中で最も問題だと思うのは「お前たち泥棒なんだよ」で、これは犯罪者扱いですからね。(限りなく黒に近いグレー)
ニュース記事では書かれてないだけで、もっと酷いことを言われていた可能性もあります。
名誉毀損罪・侮辱罪は親告罪だし、刑事告訴を取り下げて和解する可能性もありますし、裁判となったらどうなるかわわかりません。民事でも争う可能性も否定できません。
ただ、「無職は馬鹿にしてもいい」と思ってたら大間違いだ、という事実を知らしめたことは良かったかと。