厚生年金受給者2,800万人の実態
「厚生年金の繰上げ受給/繰下げ受給」についての記事です。
「厚生年金保険・国民年金事業の概況」の最新(令和4年度)データによると、厚生年金受給者2,800万人のうち、繰り上げ受給者は20万6,757人(0.7%)、繰り下げ受給者は37万4,481人(1.3%)だとしています。
あれ?こんなに少なかったっけ?
と思ってよく見ると、「老齢厚生年金」の繰上げ・繰下げ受給状況のようです。
これ、厚生年金の2階部分(報酬比例部分)に限った話なのではないかと。
老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給状況は
「老齢基礎年金」と「国民年金」の繰上げ・繰下げ受給状況については、別途示されています。
国民年金のみの受給者と厚生年金の受給者が合わさっているデータですが、基礎のみ・旧国年の人が別途掲載されているので、差し引きすれば厚生基礎年金の繰上げ・繰下げ受給状況がわかります。
- 繰り下げ:2,098,864人÷28,122,195人=7.46%
- 繰り上げ:550,550人÷28,122,195人=1.96%
となりますね。
年金額が少ないであろう、基礎年金(国民年金)だけの人のほうが繰り上げ受給している人の割合が多いのは意外かもしれませんが、病気などの事情があるのでしょう。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り上げは同時
現在の制度では、老齢基礎年金(1階部分)と老齢厚生年金(2階部分)の繰り下げは別々に選べますが、繰り上げは同時でなければなりません。
だとするとこのようなデータになるのはおかしいのですが、これは過去の制度(老齢厚生年金の繰上げ制度導入前?)に繰り上げした人が多かったからなのかな?
ただ、基礎年金の繰り下げ受給者の状況を見れば、繰り下げ受給者よりも繰り上げ受給者のほうが多いのが現実。
大病を患いでもすれば、繰り上げ受給にするのは悪い選択ではないですしね。