「老後資金2000万円」問題。本当に、誰もが2000万円を準備する必要があるのでしょうか? 答えは「ノー」であると、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん、税理士の福岡武彦さんは断言。「老後資金は人それぞれである」と話します。それぞれに必要な金額をはじき出し、資金がいつ枯渇するかまであぶり出すエクセル術とは――。
「老後資金は人それぞれ」はまさにその通りで、少数のお金持ちが数字を引き上げてしまう平均のデータで語られる「老後資金は2000万円必要」に振り回されるべきではありません。
ただ、現役時代に老後の生活費を予測しにくいからこそ、現在の高齢者のデータにあてはめたくなるのでしょう。
老後の生活費を予測しにくい要素
老後の生活費は現役時代の生活費とは変わります。コロナ禍で外食費や被服費、あるいは交際費が減ったように、付き合いが減れば支出は大きく減ります。
一方で、旅行や趣味を楽しむためにお金を使いたい人は、老後に大きく支出が増えるかもしれません。
さらに、年金受給額がいくらになるかも想定しきれないのが現実です。もらい始めは想定通りだったとしても、マクロ経済スライドによって減っていくと予想されます。
そして病気で入院すれば想定外のお金がかかったり、想定していた収入が得られない可能性もあります。
そういった予測できない要因を織り込んだ上で、「老後の収入」「老後の支出」「老後資金の合計」を見える化することはいいことだと思います。
また予測がどんどん変化していく毎に更新していくといいでしょう。
95歳まで生きる想定なら、年金受給の繰り下げも
95歳まで生きる想定で試算をするなら、年金受給開始年齢を繰り下げた場合のシミュレーションもやると、さらに複数のプランが見えていいと思います。
66~70歳まで年金受給開始年齢を1年単位で変えて試算するだけでも5パターン増えますが、夫は65歳からで妻は70歳から受給開始、といった組み合わせも入れるとパターンはさらに増えます。
老齢基礎年金(=国民年金)と老齢厚生年金(2階部分)とを、それぞれ受給開始年齢を分けるのも可能ですし、エクセルシートならそういった組み合わせの試算をしやすくていいですね。
老後のプランは1つだけ用意しておくのではなく、プランB、プランCも用意しておくのが安心に繋がります。