ウチの子は平均点より高いのにクラス内順位が真ん中より低いなんておかしい!
分布次第で「平均値」と「中央値」が乖離することがあるのは、義務教育でちゃんとやっていればわかるだろうに…
と思ったのですが、コメントの中に「義務教育でやってない時期がある」というものがありました。
教科書いまむかし 厳選とゆとりの時代(中学校) -大日本図書-
によると、「資料の整理・標本調査などは高校へ移行」となっています。
教科書いまむかし 厳選とゆとりの時代(小学校) -大日本図書-
では「平均」という項目が「たのしい算数 6年上」にありますが、中央値までやるのかはわかりませんでした。8ページしかないので詳しくはやらなさそう。
現在は「資料の整理と活用」を中学1年生で習い、さらに今後小学6年生でやるそうです。
どうやら、本当に中央値を義務教育で習ってない世代がいるようです。もちろん、ほとんどの人は高校で習っているはずですが…
こちらの問題は「2018年 渋谷教育学園渋谷中学校入試問題」ですが、母親が中央値を義務教育で習っていない世代だとすればピッタリ?(年齢的には合わないが)
実用性のある問題だ。 pic.twitter.com/JyXG2wmJlm
— おおとり (@k_ootori_1582) 2018年5月14日
貯金でも老後必要な生活費でも「平均値」ばかり
貯金だとか年収だとか、老後必要な生活費でも、とにかく「平均値」ばかりで論じられる傾向があります。
その分布が正規分布に近い分布になっているならば平均値≒中央値になるので平均値だけでも十分です。
しかし正規分布ではない場合は、中央値も平均値と同じくらいかそれ以上に重要な指標となります。最頻値も同様です。
極端な例では、「貯金ゼロ」と答える人が半数を超えた場合は、中央値はゼロとなります。格差社会では平均値だけで見るのは危険です。
平均値は少数の人が引き上げている場合もあるので、平均値使って「老後必要な生活費は~」というのはおかしな数字です。
そもそも平均値が「必要」っておかしい
そもそも平均値を使って「必要」と言うのがおかしいのです。なぜなら、概ね半分の人ははそれより低い数字なのですから。
世間一般の目安にはなりますが、「必要」な数字は人それぞれ事情によって異なります。
日本人はテストなどで平均ばかり気にしてきたから馴染みがあって、「真ん中」のイメージが強くなっています。
そして高めに出る平均値は危機感を煽るには都合がいいので使われがち。
でも義務教育で中央値を習ってないのでは、その意味がわからないのもしょうがないかな…
とかく数学は「社会に出て役に立たない」扱いされがちですが、平均値・中央値・分布など「資料の整理と活用」は身近に役に立つことなので、よく理解しておいて損はないと思います。