金融庁が保険販売の指針改定(案)を公表
金融庁が公表した「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)はこちらにあります。
その中で、改正の主旨を次のように説明されています。
保険会社や保険募集人等が保険募集を行う際には、顧客の意向を把握し、意向に沿った保険契約の提案を行うことが重要です。
今般、この点について、公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑み、保険募集人等が公的保険制度について適切に理解をし、そのうえで、顧客に対して、公的保険制度等に関する適切な情報提供を行うことによって、顧客が自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を理解したうえでその意向に沿って保険契約の締結がなされることが図られているかという点などを監督上の着眼点として明確化するものです。
保険募集を行う際にじゃ、顧客に対して公的保険制度等に関する適切な情報提供を行った上でそれでも足りないと思った顧客にだけ販売しろと。
公的保険がどこまでカバーしてくれるのかを理解していない顧客に対して、「入院したらこんなにお金がかかりますよ!」などと過剰に煽って保険を売っている現状を問題視しているのかな?
6人部屋は昔の話
入院すれば1日あたりでお金が支払われる医療保険では、「差額ベッド代を始め入院したらこんなにお金かかる!」と保険の必要性を訴えます。
逆に言えば、差額ベッド代(特別療養環境室)が不要な標準病徴に入れば、少なくともベッド代に関しては保険の範囲内です。
差額ベッド室の要件はいくつかありますが、その一つは「4床以下」、つまり4人部屋から差額ベッド代が必要になるケースがあります。
「大部屋=6人部屋」とのイメージで、それよりいい部屋を選ぶなら差額ベッド代がかかるというイメージでしょうか。
私の父が20年くらい前に入院した時の病院も大病院でしたが、6人部屋でしたから私もそのイメージが強く残っていました。
ところが、今は標準で4人部屋にしている病院が増えています。もちろん標準ですから差額ベッド代はかかりません。
総病床の差額ベッドが占める割合は20.5%
そもそも、病院のベッドのうち差額ベッドは全体の半分以下でなければいけません。国や地方自治体の病院では更にその割合は小さく制限されています。
こちらの資料によると、日本の病院の全ベッド数のうち、差額ベッドの占める割合は20.5%とのこと。さらに差額ベッドの多くは1人部屋か2人部屋で差額ベッド代がかかる4人部屋はわずか2.9%。
ざっくり言ってしまえば、8割の人は差額ベッド代を払わずに入院しているわけですね。
「個室じゃなきゃ嫌」と言う人は差額ベッド代を考えておいたほうがいいですが、「せめて4人部屋で」と考えてるくらいなら必要はないかと。
今は手術後もすぐに退院させられるので、一時金を貰えるタイプの保険の方が実情に即していると思います。
退院してから元の生活に戻るまでの間は、何かとお金がかかってしまうので。
保健販売に関しては公的保険制度について説明も必要だし、このような実態も説明が必要ではないでしょうか。