年金だけで暮らしている高齢者は4割
よく聞かれる質問の一つに「老後は年金だけで暮らせるのでしょうか」があります。
今は、「いま年金をもらっている人たちの4割は“年金だけ”で暮らしています」と答えています。
この数字は、2023年に公開された「国民生活基礎調査」によるものです。
下のグラフのように、「年金だけ」で暮らしている人が4割、「年金が80%以上を占める」人まで入れると6割になります。
高齢無職世帯の収支(平均)が毎月数万円の赤字であることから、「公的年金だけでは生活できない」→「老後資金2000万円必要」という論調を目にして不安を抱く人が多いのだと思います。
しかし「国民生活基礎調査」によると「公的年金(および恩給)だけ」で生活している人は44%、「公的年金が80%~100%未満」の人と合わせると60.5%という結果。
公的年金だけで生活している人の中には、年金をたくさん貰っている人もいれば、少ない年金でも節約して生活している人もいるでしょう。
逆に働いて収入を得ている人の中には、実は年金だけでも生活できる質素な人もいそうです。
「公的年金だけ」の割合は年々減っている
4割を超える「公的年金だけ」で生活する人になればいい、という単純に考えてしまいますが、「国民生活基礎調査」の過去の統計を見るとそう簡単な話ではなさそうです。
平成26年(2014年)に行った調査では、「公的年金だけ」の人は56.7%もいました。
そこから55.0%(2015年)→54.2%(2016年)→52.2%(2017年)→51.1%(2018年)→48.4%(2019年)→44.0%(2022年)と減少傾向です。
このようになっている理由としては、配偶者に先立たれて単身になった高齢者が、年金受給額が減ったことで生活が苦しくなったことや、団塊の世代の年齢が年齢が高くなり医療費が増えたことなどが考えられます。
現役時代に同レベルで稼ぐ共働きだった夫婦は、どちらかが先になくなった場合はいきなり年金が半分になることを想定しておかないと大変です。
「人生100年時代」を先に迎えるのは女性
この先、「人生100年時代」が到来するとして、それを先に迎えるのは平均寿命から見て明らかに女性です。
つまり長生きリスクは女性の方が深刻に考えるべき問題。
夫婦の場合は夫に先立たれた妻が、年金が減った後にどう生きていくかを想定しておく必要があります。
夫は65歳から受給し妻だけ年金繰下げ受給、は有力な選択肢の一つになるでしょう。