老後資金2000万円がなくても、自分らしく生きることはできる
「せつ子さんは、新しい服も買えないし、旅行にも出かけられませんでした。でも、月々5万円の生活費しかなくても、介護サービスは入れられます。ヘルパーを入れる事によって、長年彼女がしてきたように、部屋を清潔に保ち、栄養バランスが整った食事と、清潔な着替えは毎日用意できます。彼女の生活の楽しみである、熱いお風呂の用意と、晩酌用のお湯割りの焼酎とアテも予算内に収まっていました。」
月約5万円の年金でありながら、最低ラインの衣食住はしっかり整えつつ、熱いお風呂とお湯割りの焼酎とアテというささやかな楽しみを持っていたと。
ただ、介護を必要としていたためだと思いますが、訪問入浴は月2回だったというので、お風呂は毎日楽しめるものではなかったようですね。
入浴のみでデイサービスの利用は可能だし、1回あたり1000円程度ということなので、デイサービス利用ができる環境であれば、もっと回数多くできていたかも?
「知足安分」の精神で
自宅があるとは言え、月約5万円の年金はちょっと…と思う人も多いでしょう。
確かに生活保護(生活扶助)の金額よりも2~3万円少ないので、もう少しあればというレベルですし。
しかし介護を受ける状態になっても、毎日お湯割りの焼酎を飲むというささやかな楽しみを続けられていたことで、幸せな日々になっていたのかな。
「知足安分(足るを知り分に安んず)」とは、「欲をかかず高望みせず、おのれの境遇の分相応に満足すること」という意味です。
家計調査の平均収支額だけでみれば見えないけれど、平均よりも少ない金額で知足安分の生活をしている高齢者もたくさんいるんでしょうね。
戦前生まれの方は、何もなかった生活に慣れていそうですし。