「国民の8割は65歳を超えても働きたい」
あなたは何歳まで働きたいと考えているだろうか。リクルートワークス研究所の坂本貴志研究員は「『国民の8割は65歳を超えても働きたいと考えている』というデータを前提に企業の再雇用などの法改正が進んでいるが、このデータには異なる読み解き方がありそうだ」と指摘する――。
「働きたい」の意味は人によって違います。
働くことが自分の生活の中で重要な位置付けになっていて、お金に関係なく「身体が元気なうちは働いていたい」と考える人がいるのも事実だと思います。
その一方で、年金だけでは生活費をまかないきれないため、お金のために「働かざるをえない」人もいます。
それを合わせて「国民の8割は65歳を超えても働きたい」として政策を考えるのはちょっと違和感がありますよねぇ。
ある調査では「65歳以降に仕事をしたい」は3人に1人
ソニー生命が2018年10月に行ったインターネット調査『シニアの生活意識調査2018』では、「65歳以降に仕事をしたい」と答えた人は31.4%という結果でした。
逆に「65歳以降に仕事をしたくない」と答えた人は44.7%と、仕事をしたいという人よりも多い結果です。
インターネット調査なので、年金や貯金が多い人が多く答えていると、「働かなくても生活できる(できている)」人が多くなっているのかもしれません。
十分な年金や貯金があっても、ずっと働きたいと考える人が多く、「国民の8割は65歳を超えても働きたい」という結果になっているわけではないのでしょう。
記事に書かれているように、国が「60歳以上の働いている高齢者に対して何歳まで仕事をしたいか」を尋ねた結果で言っているのだとしたら、「60歳以上の働いていない高齢者」が抜け落ちているわけですし。
「働かねばならないから働く」「必要なだけ働く」
これからは「働かねばならないから働く」社会になるのだという結論には同意せざるをえません。
そもそも、現役世代だって「働かねばならないから働く」だし、それが高齢者にもひろがっていくだけのこと。
その一方で、高齢者なら足りない生活費をまかなうために「必要なだけ働く」でもいいわけですが、それが現役世代にひろがってもいい。
現役世代はフルタイムやずっと継続して働かなければならないという呪縛も無くなって欲しいです。