日本企業は成功体験に縛られた人ばかり
成功体験というのはなかなか忘れられません。成功体験というのはいつの間にか自分を縛ってしまうんですね。部下が何か新しいことを提案しても、「オレたちの時代はこうやって大成功したんだ」と自慢話が続くばかりで、耳を傾けようとしない。たとえ耳を傾けたとしても、それを実施してみようという決断を下せない。しかし本当は、うまくいった時こそ、次の一手を打っておかなければならないのです。
「成功体験」を自信として、また次の時代にあった新しいやり方を模索して次の成功に繋げるのならばいいですが、「成功したやり方」自体に縛られてはいけませんね。
成功した理由を分析できず、前みたいにがんばれば次もまた成功するのだ、と漠然と考えているとさらに危険です。
日本企業の幹部の中には、過去の成功体験に縛られている人が多くいるのは事実でしょうねぇ…
「ものづくり大国」に縛られている日本
日本全体が、「ものづくり(製造業)」の成功体験に縛られていると言えるかもしれません。
過去に成功したことは間違いないし、今でも強い分野があるのも事実ですが、もう挽回不可能な分野も増えてきました。
日本半導体は挽回不可能という、昨日の国会参考人のお話。なかなか興味深かった。 https://t.co/XH4jf1yhKr pic.twitter.com/xILVCAIti1
— yuri (@syoyuri) 2021年6月1日
『日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ』などの著書で日本の半導体産業を始めとする製造業の凋落を指摘している、元日立の半導体技術者・湯之上隆氏が国会で語ったものです。
メインフレーム向けの高品質DRAMの「成功体験」に縛られて、高品質にこだわったがために凋落した経緯が語られています。
退職勧奨を受けて日立を辞める際、退職届の提出が遅れたために早期退職優遇の退職金割増を受けれず、ただの自己都合退職になった下りは悲しすぎるお話ですが…
「歴史的に、経産省、革新機構、政策銀が出てきた時点でアウト」
半導体は世界シェア50%(DRAMは80%)という「成功体験」があったものだから、復活を掲げて国家プロジェクト化しましたが、全て失敗。
「歴史的に、経産省、革新機構、政策銀が出てきた時点でアウト」という事実の指摘には笑ってしまいました。
国家プロジェクト化して日本の総力を結集するとなると、マスコミが「日の丸~」ともてはやされますが、むしろ地雷ワードですよねぇ。
半導体のようにパラダイムシフト(メインフレームからPCへのダウンサイジング)が起きたら、過去の成功体験は生ゴミ化します。
高品質が活きる半導体製造装置や半導体材料分野に力を注ぐしかないですね。