『年収200万円で豊かに暮らす』は欺瞞
宝島社のムック本『年収200万円で豊かに暮らす』がSNSで大きな話題(炎上)になった要因は、文筆家の古谷経衡氏まで参入したからでしょう。
その当の本人に取材して詳しく聞くのはいいことですね。
「豊か」の定義は人によって違うので、古谷経衡氏にとって年収200万円では「豊かに」暮らせるわけねーだろ、と考えるのはしょうがない。
実際、楽ではないだろうし、貯金がゼロだと何かあった時に不安しかないし。
でも「こういった層はカードリボ払い等の残債があるはず」とまで決めつけるのはちょっとね…
年収200万円で暮らしたらデフレ脱却はできない
年収200万円の層より「少し上の階層」がわざわざ本を買ってまでして読むかと言われると、それはちょっと疑問です。
そういう本の存在を見て自分の方がまだマシだと安心すればいいだけで、わざわざ読まなくても十分なので。
一方、「奴隷でいる事を強いるプロパガンダ」との考え方は、低賃金で労働者を雇用していたい企業の経営者は持っているでしょう。
しかしながら国にとってはデフレ脱却できないので自分で自分の首を絞めるようなもの。
政府が積極的に進めている・勧めているとまで言うのはちょっと飛躍しすぎ。財界はともかくとして。
相対的貧困ラインに近いのは間違いない
年収200万円(手取り月13万円台)は、地域によりますが生活保護費(生活扶助+住宅扶助)と同レベルか少し高いくらい。
相対的貧困ラインに近いレベルで、人によっては貧困を感じるため、一律に「年収200万円=豊か」との認識が広まるといけませんね。
この層の年収を増やすように手を打つのが政府の役目だし、そのために参考するのが相対的貧困率という指標です。
「貧困解決を遠ざけてはいけない」との古谷経衡氏の考えには同意します。その上で、他人の幸せに口を出すなとも言いたいですけれど。
炎上して注目を浴びたのは、色んな意味で良かったんじゃないでしょうか。