高齢者ほど幸せな「エイジングパラドックス」
肉体的な衰え、経済的な不安、大切な人の死……。老後のことを考えると、こうしたネガティブなイメージばかり頭に浮かばないだろうか? しかし最新の研究で、「年をとればとるほど幸福度は高まる」ことがわかってきた。
幸福度がU字カーブを描き、高齢者ほど幸せになっている「エイジングパラドックス」。
中年が不幸のピークで、そこから歳を重ねるほどどんどん幸福度が上がっていくという調査結果によるものです。
記事では「日本も例外ではありません」と書いていますが、これについては国が否定しています。
内閣府「日本人の幸福度は高齢になっても上昇しない」
以前にもこの点について書きましたが、「幸福のUカーブ」は、日本人にはあてはまらないと公表しているのは、日本の政府(内閣府)です。
平成20年度(2008年度)の白書なので、調査はそれよりも前。つまり15年以上前の調査です。
今ほど老後不安はなかったし、実質の年金が減って生活が苦しいなんてこともなかったはず。
高齢者の婚姻率が高い(未婚率が低い)時代ですから、若年層・中年層よりも高齢者の方が幸福度が高くてもいいはずなのに…
だから以前に「日本の高齢者はリタイア生活・老後の生活を楽しめていない」と書きました。
「総合主観満足度」では高齢者が高い傾向
もしかして最近の調査で違う結果が出たのか?と思って調べてみたら、同じ内閣府の『満足度・生活の質に関する調査』における「総合主観満足度」調査では、60代以降が高いという結果になっていました。
アメリカの幸福度が30代後半から上昇しているのに較べると、日本は上昇する年齢が遅いですね。
労働が満足度を押し下げる要因になっている考えられます。これも「働かなければ住み良い日本」を裏付けるデータの一つかな。
幸福度を上げるには考え方を変えればいいのか?
国民生活白書では、アメリカなどが「幸福のUカーブ」になる理由を次のように書いています
熟年層に入る頃には、自分の人生がある程度定まってくるので、人々は若い頃持っていた野心を実現することをあきらめざるを得ないから幸福度が下がる。その後の高齢期に入ってからは考え方を変え、後半の人生を楽しく充実させようと努力するから幸福度がまた高まるのではないかとの考察がなされている。
若い頃は「何者かになりたい」という夢を持ち、自己実現や承認欲求を追い求めようとしますが、それができない人の方が圧倒的。
「何者にもなれなかった人」はあきらめてから考え方を変え、残りの人生を楽しく充実させようとすれば、幸福度が上がりそう。
日本ではそのロールモデルがないと指摘もありました。
自己実現に繋がらない労働を続けるのが不幸の要因であるならば、FIREを目指すのも一つの方法です。
「何者にもなれない」や「仕事にやりがいを感じない」はなんら恥じることではなく、考え方を変えて自分の人生を充実させることに注力した方が幸せになれると、国が言ってるようなものですね。