成功哲学を扱ったビジネス書が売れ続ける理由
「成功とは何か」といった抽象的なテーマのビジネス書が気になって買ってしまう。なぜなのか。組織開発専門家の勅使川原真衣氏は「成功哲学を扱ったビジネス書が売れ続けるのには、明確な理由がある」という――。
成功哲学を扱ったビジネス書が売れ続ける理由は、「コンプレックス産業化」しているから、という話です。
コンプレックス産業と言えば、身体的なコンプレックスを煽ってそれを解消する商品・サービスを売ろうとするものが多いですが、「成功」や「自己肯定感」のビジネス化もコンプレックス産業であると。
外見に関することなら多少の改善はあり、コンプレックスが無くならないまでも減らすことはできますが、成功者の哲学の再現性は高くないだろうし、そもそも成功者になれるのは一握り。
それでも「成功しないのは恥ずかしい」と、コンプレックス産業化・マナー化されていくのは確かに面倒ですねぇ。
反動が「がんばらなくていい」本か
成功哲学本で疲れた人や、コンプレックスを抱きつつも成功なんて目指せないという人に向けた本が、「がんばらなくていい」系の本でしょうか。
こちらもたくさん売れているようで、「成功しないといけない」という呪いを解きたい人はかなりいるのかな。
成功したい人が成功を目指し(ただし自己責任)、そう思わない人はそれなりに生きていく、で棲み分けるのがいいんでしょうけど。
全員が「成功を目指すべき」という社会は疲れてしまいますからね。
巷のFIRE本はどっち?
FIREブームによって、「FIRE成功者」によるFIRE本がたくさん出版されました。
FIREは「定年までがんばって働かなくていい」であると同時に、「資産を築いて経済的自由と早期リタイアを達成する」成功哲学でもあります。
後者の部分に重きを置いたFIRE本が増えていったイメージがあります。それが語りやすいテーマですし、求められているのは事実ですし。
私としては「がんばって働かなくていい」に重きを置いた本や論調がもっと増えて欲しいな~と思う限りです。
