高齢者の未亡人が陥る「日本の過酷な現状」
日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳と世界的にみても長寿化が進んでいます。これに伴い、老後の生活問題が取り沙汰されるようになりました。特に共働き世帯でなかった家庭における、残されたパートナーへの影響は決して小さなものではありません。本記事ではCFPの伊藤貴徳氏が、Aさんの事例とともに、世帯主に先立たれた場合に受け取る年金について解説します。
夫婦の年金合わせて月21万円だったのが、夫に先立たられると激減して過酷な生活を強いられる(?)という話ですが…
生活費も2人から1人になるので激減するはずです。賃貸住宅に住んでいる場合は家賃の安いシングル向けの部屋に引っ越す必要はあるでしょうけど、持ち家があるならそこまで過酷だとは思いません。
65歳の高齢者の単身世帯は平成22年の時点で500万世帯を超えており、今の高齢者の婚姻率の高さから考えてその多くは配偶者に先立たれた未亡人と考えられます。
過酷な状況に陥ってる高齢未亡人が数百万人いるとするならば、日本はヤバすぎでしょう。
もっと激減するのは夫婦共働き世帯
記事のケースでは、夫婦で20万9000円もらっていた年金が、先立たれたことにより12万4000円まで激減したというもの。約40%減ですね。
では共働き夫婦で、夫婦の年金額が同額だった場合はどうでしょうか?
夫の年金額の方が多い場合は、その金額差によって選択肢が3パターンあります。
- 遺族厚生年金(報酬比例の3/4)のみを受給する
- 自分の老齢厚生年金のみを受給する
- 死亡した配偶者の報酬比例の年金額の1/2と自分の老齢厚生年金の1/2の額を併給
夫婦の年金額が同額だった場合は、「妻は自分の年金のみ」が最も多い選択になります。つまり50%減額ですね。
上の図は、「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書資料編」にあるものです。
資料の中では「片働き世帯と共働き世帯の間での高齢期の遺族年金の不均衡」についても言及されているように、共働き世帯の方が大変なんですよね。
遺族年金制度においても専業主婦は優遇されていると言ってもいいでしょう。
共働き世帯の多い今の現役世代の方が過酷
平均寿命からみても夫が年上の夫婦が多いことからも、夫婦では夫が先に亡くなる可能性が高く、さらに共働き夫婦は存命中の2人合わせた年金額は高いものの、亡くなったら一気に半減する可能性があります。
最も有効な対策は、余命が長いと考えられる妻の基礎年金を繰り下げて増やすことでしょうかね。
男性の繰り下げ受給と比べると女性の方が大きなメリットを得られる可能性が高いですから。
セカンドライフの「その先の生活」を計画しておくならば、選択肢の一つとして必ず考えるべきことだと思うのですが、どうして入ってないのやら…